【タイプ別】部下の目標達成に向けた声かけ法

目標数字を追っているものの、あと少しで未達が続く部下をみて「まだまだ出来ることがありそうだ」と感じていないだろうか。今回はそんなあなたに、タイプ別で部下の目標達成を促すコミュニケーション方法をお伝えする。これを通して、目標へのラストワンマイルを駆け抜けて欲しい。

目標数字を聞いた途端の部下の反応をみる

人体に不調が出たときに、医者は診断と処方を行う。

同じように、未達という不調が出ている今、まずは診断を行うべきだ。

では部下の診断を、いつ行うべきだろうか?それは、彼らが危機的状況を想像した時だ。

人は危機的状況になったときに、本性が現れる。営業マンの危機はなにかといえば、目標数字が達成できないことだろう。

部下が危機を想像したときの表情や雰囲気をみることで、上司として今後の対応ができる。

だからこそ、目標数字の発表をした際には、目を光らせておくと良いだろう。部下が目標数字とどう向き合っているか、わかるはずだ。

弊社では営業マンを3つに分類している。今回のケースに合わせて順に説明していこう。

①従属型営業マン:不安に見える

目標数字を聞いた途端、上司であるあなたの表情を読み取ろうとするのが、この従属型営業マンだ。

そして、本気で達成しようという表情だと分かった途端に、パソコン上にある顧客リストとにらめっこしながら、「あと●件達成しないとやばい・・」と話をうわの空で聞いている様子になるはずだ。

彼らは、まるでテストの課題が出されて、それをしっかりとこなして100点を取りに頑張る学生のように、真面目に行動する。そうすれば、先生にも褒められて、学校での居場所ができるからだ。

「言われたからやるしかない」思考を活用する

また、彼らは、自由な発想がストップしている。極端に言えば「言われたからやるしかない。出来なかったらこのチームで居心地が悪くなる」と常に考えて、不安で行動している。

傍からみたら、行動量も多く、多少の成果も出ているかもしれない。なぜこれだけ行動するかと言えば、失敗が怖いからだ。

失敗の瞬間を恐れて動いているため、当然、失敗をした時はブレーキが掛かる。「絶対に怒られる。やばい」と。ぜひ、上司であるあなたには、その思考を逆手にとって欲しいのだ。

目標達成の処方:失敗時のフォローを手厚くする

大切なのはその時のフォローである。とにかく責めないこと。「人間誰しも失敗はある、それよりも行動し続けているからこその失敗だから、もっと行動していいぞ!」と、行動していることへの労いをしてあげれば、彼らはまた動き始める。

そうすることで、ネガティブ思考に遮られて、行動が止まってしまう時間を減らしながら、目標達成に邁進させていくことが可能になる。

②反逆型営業マン:絵空事に見える

目標数字を聞いた途端、「大丈夫です!なんとかなりますよ」と豪語したり、「えー胃が痛いー、がんばりますー」などと軽口をたたいていたら、その人は反逆型営業マンだろう。

彼らの内心は「また大きな数字が降ってきた。あのお客さんからだったら、良くしてもらってるし、契約もらえるんじゃないかな」と、顧客リストをみながら、少々都合の良い解釈をしている所がある。

だからこそ、まるでテストの課題が出され、その回答方法もある程度分かるものの、テスト期間中に、息抜きに遊びに出かけるような行動を取る。そうすれば、自分自身が満たされて、ストレスが解消できるからだ。

「早く自分の(好きにできる)時間が欲しい」思考を活用する

また、彼らは、御用聞き営業マンとは逆で、自由な発想が進んでいる。極端に言えば「うまくやって、早く自分の休みを確保したいなー」と常に考えて、悶々としながら営業している。

傍からみたら、行動量も普通で、追い込んでいないように見えるが、いきなり爆発的な結果を出すこともある。なぜこれだけアップダウンがあるかと言えば、瞬発力が高いからだ。

しかし瞬発力が高い分、継続力がない。うまくいかなかった時に、「ほーら、また認められないじゃん」と、ヘソを曲げてしまうようなタイプだ。ぜひ、上司であるあなたには、その思考を逆手にとって欲しいのだ。

目標達成の処方:軽い気持ちで応援する

大切なのは、成果が出ないときの日常対応だ。とにかく重くしないこと。「大丈夫、あのときも上手に出来たじゃん。もう一回、頑張ってこい〜」と、友達におやつをシェアするくらいのイメージで、営業しているイメージをインプットさせれば、彼らはまた動き始める。

そうすることで、悶々とする思考に遮られて、行動が止まってしまう時間を減らしながら、目標達成に邁進させていくことが可能なのだ。

③自立型営業マン:具体的に行動に移しそうに見える

目標数字を聞いた途端、顧客リストをじっとみたかと思ったら、何やら資料を作ったり連絡を取り出したりしたら、おそらく自立型営業マンだろう。

彼らは、テストの課題が出されながらも、その課題に疑問を持ち、自分なりの課題解決を始める。相手の課題を、問題解決できる自分でないと不安だからだ。

「結果が出ないと価値がない」思考をうまく活用する

結果を出すことが自分自身の存在価値だと思っている彼らは、何も言わなくても目標達成の意味を理解しているから、動いているだろう。

いわゆる優秀人材と言われる人たちがこのグループだ。自身の成果が伸びているのであれば、周囲のメンバーの成果を心配することもするかもしれない。

ただ、そんな彼らでも市場環境などの状況によって、売上が伸び悩むときもある。その時が、上司が気をかける瞬間である。

目標達成の処方:結果が出ないときほど、存在価値を認める

大切なのは、結果が出ないときほど、存在価値を認めることである。前述の通り、目標数字について理解しているし、それに自立思考をもって取り組んでいる彼らに対して、また目標数字の話をしても、モチベーションは変わらない。

実は結果が出ないときほど、感情的には不安になっている。「数字に関わらず、お前はよくやっているよ、お前の価値は変わらないよ」と接するイメージで、やり方などのアドバイスは一切必要なく、価値を認めてあげることが重要だ。

そうすることで、かれらの自己重要感は満たされる。だからといって、結果を出さないわけにはいかないと思っているから、また走り出すのだ。

まとめ:パズルの欠片としてみる重要性

以上、3タイプの反応について、説明をした。

ぜひ、明日から部下との1on1や普段のコミュニケーションの中で、反応を注意深く見極めて頂きたい。この診断がズレてしまったら、処方がとんでもないことになってしまうからだ。見極め方について、より詳しく知りたい方は、下記レポートをみてほしい。

また、どのタイプと接するときにでも重要な事は、「チームに必要な人材であり、自分も含め成長過程の中にいる」という思考で部下と接することである。人間、完璧な人はいない。パズルのピースは、どんな絵柄でも1ピース欠けたら完成しないことを心に留めていただきたい。