優秀人材の定着率を高めるために会社は何をすべきか

日本の労働力人口が、急激に減少していく。これに伴い、忍び寄る危機が近づいているが、なかなか理解されていない事実がある。それは、優秀人材が離職することの痛手が更に大きくなるということだ。なぜなら、優秀人材を見つけ出すことも難しくなり、コストも今までより高くなるからだ。ならば、定着率を改善することが、未来に向けて行うべき一手だ。優秀人材の定着率を高めるために会社は何をすべきなのか、考察をした。

人口減少に歯止めがきかない

現在のペースで少子高齢化が進んだ場合、40年後の労働人口が4割減少するという予測がある。このグラフ通りに進み、生産性がこのままの状態であれば、労働力が減り、国の経済力が下がっていく。そのため、働き方改革を推進している。

「イノベーション」×「効率化」が働き方改革

厚生労働省によると、働き方改革の基本的な考え方には「働く方の個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し、働く人1人1人がより良い将来の展望を持てるようにすることを目指します」と書いてある。

また、中小企業の働き方改革は「魅力ある職場づくり」→「人材の確保」→「業績の向上」→「利益増」の好循環をつくることを方向づけている。

この文面や周囲とのコミュニケーションの中で思うところは、日本の働き方改革は「個人の多様性受容」を前面に出している印象だが、手段が目的になっているようにみえる。

本来の働き方改革の目的は、生産性向上にあるため「イノベーション」と「効率化」の二軸を目的とした改革がそれだ。

だからこそ、各企業が「イノベーション」と「効率化」を行える人材の獲得に動いている。1つの例だが、DX人材が現在のトレンドになっているのもこうした理由からである。

優秀な人材=会社の生産性を上げる人材

さて、国際的に労働生産性は「付加価値労働生産性」で測られることが多い。付加価値額は営業利益から人件費、減価償却費を差し引く計算で求められる。当たり前のことを言うが、優秀な人材は、簡単に言えば収入を上げる人材か、支出を下げる人材と言えよう。

では、そのような人材は、働く中で、何を考え、何を求めているのだろうか。

優秀人材の比較対象は「会社の外」にある

引用元:転職会議

2016年のデータになるが、リブセンスが「年収別離職理由ランキング」の結果を発表している。同調査は3月22日~23日、30~40代の会社員の男女184名を対象に、アンケートを実施したものだ。

500万円以上の高年収層は、「キャリアアップ・会社の経営方針・裁量」といった、自身の成長や影響力の拡大ができる環境にいるかを考えている。一方、年収400万以上500円未満の平均年収層は、「人間関係・労働時間・環境」といった、会社の現状に対する不満を探している。

この思考の大きな違いは「日頃から、会社の中を見ているか、外を見ているか」ということだ。

優秀人材はあなたの会社と外を常に比較している

優秀人材は、自身の成長=自社の成長であるからこそ、他社よりも自社の強みをどのようにアピールして、競争に打ち勝つか?ということを考えて働いている。

故に、他社や業界全体を考えることで、自社の経営状態や将来性にも目を向ける。将来性を見定めるために、上司のマネジメントや経営方針に疑問を持ち、口を出すこともあるだろう。

しかも、他社や業界全体を考えた建設的な主張であるが故に、トップとしては引き止めたいと思うだろうが、それこそイノベーティブな方向性を打ち出さないと、やはり離れてしまう。

優秀人材は自身の将来性も気にしている

例えば、35歳のマネージャー・幹部候補が、今、働いている会社に将来性を見いだせなかった場合、いつ転職するかを考えるはずだ。それは自身のキャリアを考えたときに早い方が良いと考えるのが妥当だろう。

現状の会社で年齢だけを重ねていけば、年収は高くなるが、その分、他社だって大きな買い物にもなるし、スキルと年収が釣り合っていないと、転職が難しくなる。それならば、転職するのは、今だと判断する。

虚心坦懐に話し合うところから

さて、このような「会社の外と比較をし、成長や影響力拡大を考える優秀人材」をどう定着させればよいのだろうか。実は優秀人材の惜しい点が1つある。それは、大きな成果や影響力を求めるがあまり、人間関係をおろそかにする点だ。

会社の経営状況の芳しくなさや、裁量の少なさに対して、優秀人材自身の手で、なんとか立て直そうという風には思わないから、他の環境に移動してしまうのだ。

私も経営者の端くれだから分かるところもあるが、会社の業績は良いときも悪いときもある。もちろんマーケットの将来性なども考慮する必要があるが、最も大事なのは、業績が悪いときでも続けることのできる「想い」と「仲間」だ。

しかし、転職を決める優秀人材は、「就職したときの想いを忘れ、成果を求める人材」か、「就職したときの想いもあるが、他社とあなたの会社を比較したときに、会社全体に想いが通っていない」という事に気付いてしまった人材かのどちらかだ。

もし、あなたが経営者なのであれば、そうした彼ら彼女らの「想い」の部分を聞くことをおすすめする。なぜ会社に入ったのか、そもそも人生をかけて何を達成したいのか。成果を上げ続ける「個人の成果・成長同盟」ではなくて、彼ら彼女らの想いを達成するために、どんな「仲間」がほしいのか。といった部分だ。

その上で、「共に想いを達成していきたい」という、あなたのラブコールが、優秀人材の定着を進めていくだろう。

しかし、この「虚心坦懐に話し合うこと」が難しいという経営者が多数かと思われる。

それは「辞めてもらっても良い」という選択肢を、受け入れることができないからだ。

関係性をシフトするために「前提」を崩す

一見、定着率を下げるかのように見える「辞めてもらっても良い」という選択肢を受け入れるとは一体何か。

この意味は、経営者も優秀人材も、互いの「前提」を崩さないと関係性は変わらないということだ。

経営者は「働き続けてくれるのが当たり前」という前提であり、優秀人材は「会社が環境を整えるのが当たり前」という前提があるだろう。

互いに、これらの前提を崩すことで、実は最終的に、優秀人材の定着率向上につながるのだ。更に詳しく話していく。

互いを問題視した対立関係から、共通のビジョンを作る親密関係へ

例えば、親が、学校で喧嘩した子供に「なんでそんなことしたの!(喧嘩なんてしない、いい子でいるのが当たり前でしょ)」という態度で、虚心坦懐になって(そもそも虚心坦懐ではないが・・)家庭内で話し合いの場を設けたら、子供はどうだろうか。

適当な嘘をついたり、謝ったりして、その場を切り抜けようとするのが関の山だろう。そしてまた、喧嘩をしてしまうかもしれない。

同様に、経営者が「なんで転職なんてするんだ!(ウチで働き続けるのが当たり前だろ)」という態度で、話し合いの場を設けたら、優秀人材としてはどうか。

「他でやりたいことがありまして(会社は環境を整えてくれないから)」など転職の理由を並べ、その場を切り抜けようとしてしまうはずだ。

このように、お互いの前提が崩れていない状態では、「転職を引き止める経営者」VS「転職を考える優秀人材」という関係性が変わらずに平行線をたどってしまう。

虚心坦懐は姿勢・態度から

では、どのように前提を崩すのか。そこで先程の「辞めてもらっても良い」という選択肢を受け入れる状態を作り出すことだ。

そうすることで、経営者側は「優秀人材が転職をする事も、人生の選択肢である」という態度で臨むことができる。すると、本当の意味で虚心坦懐なコミュニケーションが発生する。

優秀人材にとっては、話し合いが「転職を考えたからこそ、今の会社を選択した理由を改めて考える」きっかけとなり、「会社の環境は自ら整備することが可能だ」という希望に転換する。

そして、今の会社で育ててもらっていることに感謝をしながら、自身のキャリア・裁量・会社の経営方針などに意見を言える関係性に変わっていく。会社としては、優秀人材からアップデートすべき点が聞けて、会社全体のバージョンアップにつながる。

このように前提が変わることで、「転職を引き止める経営者」VS「転職を考える優秀人材」という関係性から、共にビジョンを達成するパートナーの関係性に変化する。

そのためにも、まずは経営者が「辞めてもらっても良い」という選択肢を受け入れること(つまり相手の前提に共感した状態)で、臨むことである。

まとめ:対人コミュニケーション支援を通して定着率の向上を

優秀人材の定着率を高めるために会社は何をすべきか?というテーマで考察をした。

結論は「虚心坦懐に話し合うこと」とまとめた。しかし、前述の通りやってみると、大変難しい。それは当然だ。なぜなら、それだけ手塩にかけて、育ててきた自負も期待もあるからだ。しかし、それがいつの間にか優秀人材の重荷になっている事も忘れないでほしい。

そこで我々の出番である。対人コミュニケーション支援を互いに行うことで、経営者と優秀人材の間に、これらの合意形成が日常的になされながら、仕事が進んでいけば、離職を未然に防ぐことができるのだ。

ぜひ弊社を活用していただき、虚心坦懐に話し合うことの大きな意味や価値を理解していただければ嬉しい。