【営業レベル別ロープレ】各段階に効果的な営業ロープレを解説

ロールプレイングの提案をすると、お客様からは「あぁ、ロープレね。確かに必要だよね」といった反応が多い。実は、ロープレについて深掘りをあまりせずに、実施している場合があるが、効果が出る営業ロープレと、効果が出ない営業ロープレが存在している。その違いはなぜ起きるのか?解説をしていきたい。

営業ロールプレイングの目的設定

効果が出るロープレと効果が出ないロープレの違いは、「現状分析と解決策」がズレているか、あっているかで効果の出る・出ないが変わる。当然のような話をしているのだが、実は、貴社のビジネスモデルや商習慣上、現状行われている営業の段階がどこか分からずにロープレを設計して実施していることが多い。

営業のゴールは、契約にある。なので、営業ロープレも、契約を取るために行うわけだが、そもそも、ロープレを行う営業マンの現状を分析することが先決だ。ここでは、各段階において、どのようなロープレが必要なのかを解説していく。こちらも参考にしていただけると嬉しい。

段階1:殿様提案

この段階では、市場において供給側が有利な状態に発生する。

例えば勃興時のIT業界では、顧客側がITの知識について全く分からないため「このシステムを作りたいんだけど、何人くらい必要?」という問い合わせに対して、供給側は、通常だと3人で対応できるものも「5人必要ですかね〜」といった回答をして、利益を獲得していた。これが殿様提案だ。

この段階では、そもそもロープレはいらない。供給側の言い値でほとんどが決まってしまうからだ。しかし、既得権益も崩れてきている日本の現状では、中々、この段階にとどまっている企業は少ないと言える。

段階2:御用聞き提案

この段階でも、市場において供給側と顧客(需要)側のバランスが顧客側に少し傾くものの、まだ供給側が有利な状態に発生する。

IT業界で例えていくと、顧客がITの知識が身についてきている事と、同業他社が増えていることが、殿様提案とは違う点だ。しかし、まだまだ需要はあり「このサービスを開発してほしい。人員としては設計系1人・作業系2人で、3人必要なんだよね」といった要望がやってくる。それに対して、「わかりました。開発可能です。3人確保できます」といった「回答」をしているのが、御用聞き提案だ。

この段階においては、強み提案型のロールプレイングをおすすめする。需要過多だった時代は、顧客のニーズは「作れるか否か」に置かれていた。0→1の時代だからだ。しかしサービスを作れることがわかると、「より良い品質を求める」のが顧客の心理である。

すると、供給側の単なる「回答」だけでは物足りず、「あなただからできることはなに?」と違いを知りたくなるのだ。そのため、自分が思う自社の強みを探して、それを活かす表現を開発し、提案をするようなロープレイングを何度もやると良い。そうしないと、顧客に置いていかれてしまう。

段階3:強み提案

この段階でも、まだ、供給側>需要側ではあるものの、次の段階では、供給側=需要側に傾くくらい、ギリギリ供給過多の現状だ。

IT業界で例えていくと「いつも通りサービスを開発してほしいんだよね。でも今回人員は作業系で1人でお願いします(他社さんも試してみたいので)」というような問い合わせがやってくると、黄色信号だと考えられる。それに対して、御用聞き提案で「わかりました、1人確保しますね」などと回答していると、顧客からすると「あぁ、メッセージが伝わっていないな」と考え、次の段階では振るいにかけられる対象になってしまう。

この問い合わせに対して「◯◯さん、でもうちは〇〇の強みがあるので、今回も3人でお願いできますか?適した人材もご紹介するので、まずは見てもらえませんか?」と主張をするのが強み提案だ。すると、顧客は「まぁ、じゃあ話は聞くよ」と議論の俎上に載せることができる。

ここで必要なロールプレイングは、差別化提案型のロールプレイングだ。お客様を説得するためには、自社の強みを他社と比較して表現する必要がある。そのため、同業他社を調査しながら、自社の強みを精査し表現を開発する。そして、それを顧客に当てていくロープレを実施する。ちなみに顧客は、この段階においては、提案において3回は難色を示して「でも〜」「しかし〜」といった演技をすると良い。そうすることで、差別化の表現がより尖るからだ。

段階4:差別化提案

この段階においては、もう需要側=供給側の状態となる。

IT業界で例えていくと、先程の例の続きになる。「今回は作業系1人でお願いしたけど、食い下がって再度提案の機会をもらった」というシチュエーションだ。ここで差別化提案をすると「他社との比較をしたかったけど、そういう点が違うのか。じゃあ今回は作業系1人をお願いすることは変わらないけれど、本当にこの比較が正しいのか、確認する機会としよう」といったように、次回への門戸が開いていくことになる。

しかし、段々と需要過多(競合が多くて、顧客が精査して選ぶ側になる)と「次回のプロジェクトなんだけど、一旦皆さんからの、ゼロベースからの提案をもらってから進めることにしました。なので、〇〇さんも、次回プロジェクトに対して、あなたの会社なら何ができるか考えて提案してもらえる?」とより明確な差別性や、サービス品質、効率性を求めていく。

そうなると、他社も差別性を出すような提案を当然行うので、それだけでは、顧客へのグリップ力が甘い。

そこで必要なロールプレイングが、ヒアリング型のロールプレイングだ。顧客が何を求めていて、今回のプロジェクトを提案するに至ったのか、背景を知らなければ、たとえ差別化提案をしたとしても、顧客のニーズに刺さるかどうかもわからない。そのため、ヒアリングのロールプレイングを通して、先程のような話が上がった際に「詳しくお話し聞きたいので、いくつか質問してもいいですか?」と反応できるような状況を作るべきだ。

段階5:メリット提案

この段階においては、供給側<顧客側となっており、完全に顧客が圧倒的多数から、選ぶ側として存在している。

このメリット提案ができると、先程のコンペになったときも、「ヒアリングした際に、◯◯という点に課題意識をお持ちだと伺いましたので、◯◯に必要な提案をお持ちしました、加えて、弊社なら◯◯ができるため、◯◯という点の課題に置いてはフィットすると思います」といったように、顧客の目線に立った状態で話を展開できる。

そのため、顧客への信頼は高まる上、成果を得やすい状態になる。更にニーズ提案の段階があるのだが、これは経営者へのコンサルティングなど、一般社員ではあまり対峙することのない方のニーズとなるので、割愛しておく。

まとめ:体系化したロールプレイングで組織的な営業力向上を

ちなみに、最後にお伝えしたメリット提案は、貴社エース級の人材が、なんとなくやっている領域であり、中々教育では到達しなかった世界だが、それを体系化しているのが弊社の強みでもある。メリット提案までできると、御用聞き〜差別化提案の手法を網羅しながらできるのだが、それまでは、中々引き出しの出し入れが難しい。

また、顧客の状態によって、今貴社にどのレベルの提案が必要であり、社員が成長し、会社の利益が上がるのかを分析する必要もある。そういった面も含め、まずはディスカッションしながら、現状の評価をさせていただければ嬉しい。