【タイムマネジメント研修】時間管理の本質とは何か

私自身が「時間に振り回される」仕事人生を送ってきた事がきっかけで、この記事を書いている。毎日タスク出しをしても、なぜかタスクは最後まで終わらずに明日に持ち越していた。緊急性と重要性のマトリックスを作り、タスクを分解しても、結局、重要度の高いタスクは何ヶ月も残り、いつの間にか「重要度高」のカテゴリにタスクを書くのを辞めていた。しかし、第一ボタンをかけ間違えている事に気づき、時間の本質を掴んでマネジメントができ始めている。この課題意識に共感する方や、逆によくわからないが、部下やメンバーがこの内容のような状態の管理職の方はぜひ続きを読んで頂きたい。

タスク出しの目的は「現状を測る」ことにある

あなたは、何のためにタスク出しをしているだろうか。

私は「一日のタスクを終わらせるため」にタスク出しをしていた。

そして、結局タスクは終わらずに、終わらなかったタスクを眺めながら一日を終えていた。

実は、この考え方がそもそも誤りだったのだ。

あなたは、時間管理できるようになりたいから、タスク出しをしているはずだ。

それであれば、タスク出しの目的は「自分がどのくらい時間管理ができているか測るため」にある。

タスクを出して満足して、その目的を忘れていないだろうか。目的に沿わない行動は、やらないよりは良いが、あまり実益を伴わないモノとなってしまうから要注意だ。

重要なのは「振り返り」

タスクを終わらせるためにタスク出しをしていれば、一日の終りに「タスクが終わったか・終わらなかったか」しか振り返らない。

そして、終わればやったぜ!と喜び、終わらなければ凹む。

極端に言えばこのような感覚的な振り返りしかしていない。それでタイムマネジメント力が向上するか?と言えば「タスク出しをしないよりマシ」という程度になってしまう。

一方、時間管理できるようになるために、タスク出しをしていれば、「タスクにかかる予測時間と実際にかかった時間」を計算して振り返る。

1ヶ月くらい、この振り返りをしていると、例えばAという作業をした際の平均時間が見えてくる。また、上司からの突然の指示、質問などに費やした時間も見えてくる。

感覚的に振り返っていたから、自身が1日の仕事に、何を何分行って、何に時間を費やしたのか、見えなかったところが見えてくる。

こうして、具体的な振り返りができるようになるのだ。

よくある間違い①「残業自体が問題」→「無計画残業が問題」

近年、働き方改革によって「ノー残業デー」を推奨するなど、仕事時間を少なくして生産性向上を試みる取り組みが行われている。

だからこそ「(仕事は残っているけど)早く帰らなければならない」と、時間管理が苦手な人たちは思っているはずだ。もしかしたら、結局帰って自宅で仕事をしているかもしれない。

ここで伝えたいのは「残業自体が問題ではなく、残業だと予測が立てられず、残業している事が問題だ」と認識を改めてほしい。

先程伝えている通り、時間管理ができないことが問題なのであって、例えば決算期に残業をせざるを得ない状況がある事を予測していて、計画通り残業していることは、さほど問題ないと考えている(もちろん時間量によるが)。

それよりも、普段のルーティン業務の日が常に残業だったり、それにも関わらず、上記のような見直しをしていない方が問題だ。

見直しが起きずに日々を何となく過ごしてしまうと「仕事量が多すぎる」「忙しすぎる」「上が全然見てくれない」という具体的な根拠のない話が展開されてしまう。

よくある間違い②「時間管理できれば仕事がまた降ってくる」→「仕事の質が変わる」

時間を上手に使えるから、上司が仕事をもっと多く持ってくるのではないか?という不安があるかもしれない。

もし、このような状況が実際にあるのであれば、上司が部下の時間管理ができていない証拠なので、問題提起をしたほうが良い。例えば、更に上の上司や企業内で設置されている相談窓口に、相談してみるのが良いだろう。

しかし実際は、そうではないにも関わらず、「もっと仕事が降ってくるのではないか?」と不安になっているケースのほうが多い。

そのような不安が出ているならば、時間管理ができていないと思ったほうが良い。

時間管理ができるようになれば、そもそも仕事が自分で調整できるため、新たな仕事が来たとしても、どれだけ引き受けられそうで、どれだけ引き受けられないかは、段々と分かってくるから、引き受ける段階で調整が可能だ。

また、いきなり調整できるような人材になるのは無理だ。寝返りもうてない赤ちゃんが、いきなり立って歩けないのと同じように、そのような状態になるまでのプロセスは必ず必要である。それを経て、仕事の質を変えていってほしい。

「無計画残業」を卒業するために「計画」と「振り返り」の練習を

「無計画」は日本企業の根本的な課題である。需要と供給のバランスが需要過多の時代は、それこそ無計画にモノを生産すれば売れていたので、気合根性・勘と経験で仕事ができた時代があった。

しかし、供給過多の時代になっている今では、予測と実測を伴った計画が基礎的な力として必要となっている。

若手社員も社長でも、平等にあるのが時間であり、この時間を自身のモノにできるようになれれば、全体的に企業の生産性が上がる。

そのためには、時間管理ができるようになる目的の元、タスク出しと振り返りをして、自身の現状を測り、アップグレードすることが重要だ。

ぜひ、今回の記事を参考にしながら目的を忘れずに、自分自身のタイムマネジメント力を測ってほしい。