ベンチャー企業が教育研修導入時にぶつかる3つの課題

弊社が取引する企業の中で「社外研修を導入するのが初めてだ」というベンチャー企業がいる。その方々と初めてミーティングをすると、研修導入を経験しているベテラン企業との違いをはっきり感じる部分がある。逆を言えば、その違いが、ベンチャー企業が社外研修を導入しメンバー全体の底上げを図る際に、出てくる課題感とつながっている。今回はその違いを紐解きながら、ベンチャー企業が社外研修導入時にぶつかる課題を3つに分けて説明していく。

「外の力を借りる」強みを理解しよう

例えば、今見ているPCもインターネットも、自社でPCを作ってネットを引っ張っていないはずだ。WindowsかMacを買い、ネット回線の契約をしている。そういった意味ですべてを社内で運営している企業は1社もおらず、何かしら外の力・道具を借りながら、進んでいる。

PCやネットを購入するのは「社内で作ったり出来ないから、自力でやる必要ないよね」というコンセンサスが取れる。その他、チャットツールや会計ソフトなどのSaaSの領域も、省力化・生産性という観点から、導入検討の議論をしたことがあるだろう。

このように、自社で出来ない所を、他社の力を借りているのだが、こと目に見えない「人の教育」という分野になると、この議論が曖昧な状態になっていることが、比較的ベンチャー企業で多い。ということで、課題1はこちらだ。

    課題1.自社でやること・やらないことを分けていない

    議論が膨張するのには理由があり、自社でやることと、やらないことを分けられていない点がある。

    以下は、議論が明確に進み、導入に至ったケースの企業の課題意識である。

    • 新人・若手営業マンの営業マインドセットと基礎力を身に着けさせたい ⇔ マインドセットと基礎力以外はトレーニングしなくて良い
    • エンジニアのヒアリング力をトレーニングしたい ⇔ それ以外の職種はトレーニングしなくてよい 
    • 新任マネージャーのメンタリングサポートをしてほしい ⇔ 既存マネージャーは必要ない

    このように、やらなくて良いこと(自社でトレーニングできること)が明確であるために、やってほしい事が明確になっている。余談だが、責任範囲が決められている方が、提供する側としても進めやすいし、受講者の変化が起きやすい。

    なぜならば、会社・受講者・提供者の目的にズレが起きにくいからだ。プログラムの最中でも「我々はどこに向かっているのか」という事を確認しながら進むことができるが、そうでないと、羅針盤の無い船に、目的地もバラバラといったような状態になる。沈むのは自明の理だろう。

    課題2.一回であれもこれも変えようという期待がある

    やらなくて良いことと、やることが分けられていないと、「あれもやりたい」「これもやりたい」と言ったように、要望がどんどん膨らんでいく。

    この状態は、さながら「何を食べたいかわからないけど、お腹は減っているので、食品コーナーであれもこれも漁っている状態」のようなものだ。食べた後に、本当に自分はこれが食べたかったんだろうか?と考えるだろう。社外研修を導入する事も、この話と同じだ。

    だから我々は「そうした議論が膨らんでしまうということは、課題を明確にするための議論が必要なので、課題を明確にする意味でも、一度デモをやってみて、貴社の課題意識とマッチするかしないか、考えてみませんか?」という提案をしている。

    もしあなたが、ベンチャーの教育担当で、まだ問題意識が明確でないのであれば、問題意識を明確にする目的で、様々な研修のデモを受けてみると良い。新しい刺激を受講生にぶつけることで、見えていなかった課題が浮き彫りになる。

    課題3.予算の確保&お金の出す条件を考えていない

    直接的な表現にしたのにも理由がある。考えている状態と実際に行動する状態は、全く違うことを気付いて欲しいからだ。例えば、「いつが留学したい」という状態と「実際にその国に留学する」状態は全く違うわけだが、留学でもビジネスでも、思考を行動に移す際に必要となるのは費用、つまりお金だ。

    このお金を出す条件(それを数字という条件にするなら予算でもある)を考えていないと、「出すか・出さないか」といった前提から議論が起きないため、互いにやりたいことだけを語って、収束が起きずに曖昧になるし、実際の行動に移せないので、結局、何も進捗なく終わってしまうケースが多い。せっかく互いに時間を取ったのに、それはもったいないことである。

    外部研修を委託しないのであれば、しない理由、つまりお金を出さない理由を明確にしたほうが良い。そうすることで、自社の教育の課題やコンセプトがまた浮き彫りになっていくのだ。お金を、そのような課題発見と課題解決の道具としてぜひ使って欲しい。

    まとめ:課題解決のパートナーとして

    我々をうまく活用してくださる、A社人事部長のBさんは「A社の人間がどう観えるのか、どのような課題を感じるか、何が必要か」という事を聞いてくださる。そこから、Bさん自身の考えを述べながら、本質的な課題を発見するような議論を仕掛けてくれる。

    その形が、もっとも我々が活きる方法だと考える。なぜならば、我々の強みは、フラットな、モノの見方を通したヒアリングにあるからだ。外部を活用する強みの1つは、フラットに貴社の診断・処方をできることにある。しかし誰しも、自身の経験・体験による診断・処方を出す上に、それが絶対に正しいと思っているが、弊社はその基準が極端に少ない。

    顧客の課題解決にならないと思えば、別の方を紹介したり、そもそも提案しない選択肢を、我々は持っている。自社の商品ありきではなく、顧客の課題と関係性ありきで向き合う姿勢がそうさせているのだと勝手ながら自負している。

    課題解決のパートナーとして、我々も、この話に興味を持ったあなたと話をしたいので、ご連絡を頂ければ嬉しい。