研修会社は「小回り」で選べ。現場にフィットする会社の見分け方7選(大手との違いも解説)
「研修を入れたい。でも小回りが効く会社がいい」。この検索をしている時点で、過去に一度、研修導入でモヤっとした経験があるはずである。たとえば、提案が立派すぎて現場の温度とズレた、資料が綺麗すぎて運用が薄い、当日の満足度は高いのに成果が残らない。こういう時に出てくる欲求が「小回りが効く会社の存在」である。
ここでいう小回りとは、単に「融通が利く」「要望を聞いてくれる」ではない。小回りとは、現場の変化に合わせて設計を調整し、成果に近づける運用能力のことである。では、どう見分けるか。ポイントは7つある。

目次
見分け方①:最初に“現場の観察”をするか
小回りが効く会社は、最初から資料を出す前に現場を見に行く(あるいは丁寧に聞く)。誰が困っているのか、どの会話が詰まっているのか、どの指標が痛んでいるのか。会社の歴史・組織文化を紐解いていくと、現場の問題とつながることはとても多い。
だからこそ、現場を観察せず、現場の痛みを発見しないまま、研修会社の持っているコンテンツを中心に作った研修は、だいたいズレてる。
見分け方②:成果定義が「行動」になっているか
研修の成果を「コミュニケーション力向上」「主体性向上」だけで終わっている提案は、はっきりいって、危険である。
小回りが効く会社は、例えば「新しい提案を受講生の中から1名し、契約を生む」そのために「現場でのミーティングで確認質問を先方に行ってみる」「振り返って気づいたことを報告する」など、現場行動に落とす。ここが具体であるほど、後から微調整が効く。
見分け方③:研修を“前後込み”で設計できるか

単発で終わらせない会社は強い。事前課題、上司の巻き込み、実践課題、フォロー会、現場同士の振り返り。これらを「標準装備」として持っている会社は、現場実装を前提にしている。
むしろ、単発で終わる研修で、現場の実装までを考えて設計することは大変むずかしいと考える。
見分け方④:修正の単位が「スライド」ではなく「運用」か
小回りがない会社は、修正=スライド差し替えになりがちである。小回りが効く会社は、修正=運用の差し替えである。
毎回とったアンケートから、その際に気づいて欲しかった内容における受講生の反応を測り、それによって受講生の現状を測定することからスタートしなければ、そもそも何も変えられない。
この測定があったうえで、今の受講生にフィットした問いを変える、ロープレのコミュニケーション方法を変える、上司の観察ポイントを変える、宿題の設計を変える。などを行う。単なるスライド差し替えではなく、観察を通したうえで運用を変える。成果に直結するのはこちらだ。
見分け方⑤:担当者が“営業→講師→運営”で分断されていないか
分断されていると、現場の微細な変化が設計に戻らない。小回りが効く会社は、設計と実施が近い。少なくとも「設計者が現場の声に触れている」状態を作る。
フリーランス講師は、これをすべて行っている。1人のため、分断はないのだが、どうしても社内に、受講生の状態を共有できないので、講師独自の視点が入ったまま、研修が進むことが多い。これにより、初めは期待していたが、最後は「・・・もやもや」という状態が起きる可能性があある。つまり講師の力量が試されることに加え、発注元との相性が大きく左右されるのだ。
見分け方⑥:提案時点で“できないこと”を言うか
何でもできます、は危ない。小回りが効く会社ほど、最初に制約を言う。それは、研修を提案するためではなく、先方が達成したい目的を中心としているからである。研修はあくまで手段であり、他の手法も存在する。
それにも関わらず、先方は、研修という手段を選択しているのだから、先方にとって「研修を選択した」意味を理解しながら、「ここは時間が足りない」「ここは現場の権限設計が先」「ここは研修より会議体が必要」という提言をしているかどうかだ。
この誠実さが、後の成果に直結する。
見分け方⑦:カスタマイズの方向が“御用聞き”ではないか
要望通りに作るだけだと、結局は社内の既存文化に寄り添いすぎて変化が起きない。小回りが効く会社は、要望を聞きつつも、必要なズレを提案する。「その要望の裏にある本当の課題は何か」を問い直す。小回りとは、迎合ではなく調整能力である。
大手と小回り型の違いを一言でいうなら、大手は“標準化された安心”が強く、小回り型は“現場適応の速度”が強い。どちらが良いかではない。貴社の状況に合うかである。変革テーマが明確で、社内運用が回るなら大手でもよい。
一方で、現場が複雑で、部署ごとに課題が違い、やりながら調整したいなら小回り型が刺さる。
さて、7つの見分け方はいかがだっただろうか。依頼する際の参考にしてもらえると人材育成業界の底上げにもなるため、とても嬉しい。最後に、依頼側がやっておくと失敗が減る質問を2つ置いておく。
研修前と後で、受講生がどうなったら成功といえるか
どうしてもボヤけてしまうところがあるが、受講生の1日を想像してみてもらえると何かが見えてくるだろう。朝起きてから、出社をし仕事にはいる。そのときの「会話・表情・行動」がどのようになっているのか。その1日が繰り返されることによって、周囲や仕事先にどのように影響を与えていくのか、最後にどのような成果をもたらすのか。
このような流れを研修前後で想像してもらえると、リアルな成功イメージがついてくると言えるだろう。ただ、社内で考えるのは中々難しい。だからこそ、我々のような外部企業が壁打ち相手となって整理を進めていくことができる。
その変化を誰が、どの場面で観察する?
上記のような変化は、現場で働いている周囲の人たちが最もその変化に気づくはずだが、最終的な評価者は上司となる。だからこそ、上司が誰から受講生の状況を聞くのか、という設計も必要であるし、逆に上司と受講生の距離が近いのであれば、それに加えて周囲の声も参考にすべきだろう。
以上が、依頼側がやっておくと失敗が減る質問だ。
読んでみて、いかがだっただろうか。研修会社選びで一番もったいないのは、会社名や実績で“安心”を買って、現場の変化が起きないことだ。小回りとは、現場に寄せることではない。現場が変わるまで調整し続けること。ここに投資できる会社を選ぶべきである。
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