「結局、上が決めるんでしょ?」── Z社・経営陣8名の問い直しの6ヶ月
どのような支援を通じて、どんな変化が生まれたのか?
ここでは、現場とリーダーが動き出したリアルな変化の物語をご紹介します。
物流支援システム企業Z社 社長・取締役・事業本部長クラス8名へのエグゼクティブ・コーチング
要件 |
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期間 | 6ヶ月×1クール |
成果・ハイライト
- 経営陣8名へのコーチングを通じて、トップダウン依存型組織から「自律的に動く」経営体制へ転換。
- 本部長たちが新規事業提案・受け入れ体制の構築を自発的に推進。新たな成長領域の開拓に成功。
- “正解を待つ文化”から“問いを起点に動く文化”へ、組織カルチャーが根本的に変化し始めた。
レポートReport
第1章:「笛を吹けど、誰も踊らない」—— 社長の違和感から始まった
Z社の社長は、前職を辞して、会長に呼ばれる形で社長に就任。3年目を迎えるタイミングで、こんな言葉を漏らした。
「この会社、誰もが“答え”は持っているのに、みんな動かないんだよ」
かつては会長の人脈とアライアンスによって事業が拡大していたZ社。しかし、コロナ禍をきっかけに、そのアライアンスが解消され、売上は、一時大幅に減少。リストラも経験した。
それでも、「誰かが動き出すのを待っている」ような空気が社内に漂っていた。
「笛を吹いても、踊らない組織なんだ」
その違和感が、コーチング導入のきっかけだった。
第二章:「このままじゃ、また止まる」—— 経営陣8人の中に眠る“問い”を拾う
社長はまず、8人の経営陣一人ひとりと対話を始めた。
「何に迷っているのか?」「本当はどうしたいのか?」
ヒアリングを進める中で、浮かび上がったのは、“問い”ではなく“諦めに似た答え”だった。
「提案してもどうせ許可は下りない」
「新しいことをやっても、最終的には会長に戻される」
「自分が判断しなくても、最終的には社長が決めてくれる」
こうした空気の根底には、長年トップダウン型で動いてきたZ社の「正解を察しながら見つけ、指示を待つ文化」があった。
第3章:「それ、あなたの問いですよね?」—— 自分の“意思”が、動きの源になる
コーチングでは、あえて“問い”を返し続けた。
「その判断、誰のためのものですか?」
「もし今、自由に決められるとしたら、何をしたいですか?」
答えを探すのではなく、「問いを自分のものとして持つこと」。
それが、Z社の経営陣にとって、組織に風を起こす最初のステップとなった。
次第に、
「自分の判断で進めてみてもいいんだ」
「役割を超えて、チームとして連携してみよう」
といった言葉が生まれ、動きが連鎖し始めた。
ある本部長は、「今の事業では限界がある。新しい領域で勝負したい」と、自ら提案を持ち込んだ。それが現在、新規事業の要の1つを担っている。
別の本部長は、「祖業のあり方を見直したい」と、トレーニングを別軸で弊社と行い、創業初の、新規事業の受け入れ体制を構築することができた。
まとめ:「問いが自分ごとになったとき、組織は踊り始める」
Z社の取り組みは、「答えを出すためのコーチング」ではなく、「問いを自分の中に持ち、自ら決める文化」を育てる6ヶ月だった。
“正解を探す文化”から、“問いを起点に動く文化”へ。
それは、一人の社長の違和感から始まり、経営陣一人ひとりが「問いを自分のものにする」プロセスを経て、組織全体が動き出した変化の記録である。
Relation Shiftは、Z社のような「問いを起点に自律的に動く組織」の実現を、これからも、ともに支えていきたいと願っている。