Z社の経営層コーチング事例|組織の成長を促すリーダーシップ変革

物流支援システム企業Z社 社長・取締役・事業本部長クラス8名へのエグゼクティブ・コーチング

要件

東証スタンダード市場 / 年商10〜99億円

経営層のリーダーシップ強化と意思決定の分散化による組織の自律成長促進

期間 6ヶ月×1クール

実施内容

物流支援システムの開発・提供を行う企業として事業を拡大してきた。しかし、コロナ禍によるアライアンス企業との契約解消など、危機が訪れていた。今までの創業社長中心の組織モデルから変化をしようとしていたところ、弊社のエグゼクティブ・コーチングに興味を持って頂き以下のポイントを強化し実施した。

  1. 経営層としての意思決定軸の明確化

    • 経営戦略の整理と再定義
    • 意思決定プロセスの明確化
  2. 適切な権限移譲による組織の自律化

    • 事業本部長クラスへの意思決定権限の委譲
    • 「自ら考え、決める」文化の醸成
  3. 中核人材の育成と役割の明確化

    • 事業本部長クラスへの経営視点のインストール
    • 各部門のリーダーが果たすべき役割の明確化
  4. 社員との対話を通じた組織の結束強化

    • 経営層と現場の対話の場を定期的に設定
    • 企業理念・戦略の浸透

コーチングは全6回、月1回 1.5時間のプログラムとして実施し、具体的な組織課題をテーマに取り上げながら進めた。

レポートReport

背景

Z社は、物流支援システムの開発・提供を行う企業として事業を拡大してきた。しかし、組織の成長とともに次のような課題が浮かび上がっていた。

  • 経営層の役割分担が不明確で、リーダー層が十分に機能していない
  • 会長(創業者)が意思決定のほとんどを担い、その仕組みにメリット・デメリットの両側面があるが、現状、デメリットが浮かび上がってきた
  • 事業本部長クラスの主体性が低く、新規事業の立案が進まない
  • 組織内のコミュニケーション不足により、組織文化の統一が難しい

そこで、経営層の意識改革を通じて、組織の自律的成長を促すことが求められた。

課題
  • トップダウン型の意思決定により、現場の動きが鈍い

    • 事業本部長クラスが指示待ちの状態となり、自発的な課題解決が進まない
    • 戦略の策定が社長の負担となり、事業の拡大が遅れる
  • 役割が不明確で、リーダーシップが機能していない

    • 経営層の役割が固定化され、権限移譲が進んでいない
    • 自分がやった方が早いという意識が強く、次世代リーダーの育成が進まない
  • 事業推進の視点が不足し、戦略実行が遅れる

    • 事業本部長クラスが現場の調整役になっており、経営視点が不足
    • 事業の全体像を理解する機会がなく、新規事業立案の動きが鈍い
コーチングのポイント
1. 意思決定の分散とリーダーシップの強化
  • 経営層の役割を整理し、事業本部長クラスに経営視点を持たせる
  • 社長の判断に頼らず、各部門長が意思決定できる環境を構築
  • 経営の問いを持つ文化を育むトレーニングを実施
2. 戦略の共有と組織文化の統一
  • 事業戦略を明文化し、社内での理解を深めるセッションを実施
  • 意思決定のプロセスを整理し、どこで何を決めるのかを明確化
3. 現場と経営をつなぐ仕組みの構築
  • 事業本部長クラスに事業戦略と現場実行の視点を持たせる
  • 新規事業の立案と実行のフレームワークを導入
成果
事業本部長クラスの意識改革
  • 新規事業立案に踏み切った事業本部長が誕生
    • コーチングの過程で「自分で事業をつくる視点」が醸成された
    • 経営層としての自覚が芽生え、実際に新規事業を提案
  • 指示待ち文化の改善
    • 事業本部長が主体的に戦略を策定し、社長の負担が軽減
    • 「決定事項を伝える」のではなく「一緒に考える」文化へと変化
経営層の役割の明確化
  • 社長の意思決定の負担が軽減
    • 各リーダーが判断できる仕組みが整い、社長の戦略業務に集中できるように
    • 「決断を社長に持っていく前に考える文化」が醸成
  • 管理本部の機能強化
    • 専務が管理本部長としての役割を確立し、リーダーシップを発揮
    • 「評価者」「仲間」という2つの視点を持ちながら部下と向き合う体制を確立
組織の結束力向上
  • コミュニケーションの改善により、組織の方向性が統一
    • 「戦略を共有する機会」が増え、組織のビジョンが明確化
    • 社員の発言が増え、現場と経営が繋がる文化へと変化
経営者の気付きと変化
  • 事業本部長クラスが自ら考え、意思決定するようになったことで、会社全体のスピードが向上した
  • 決断が社長だけに集中せず、組織としての自律成長が進んだ
  • 管理本部の役割が明確になり、組織全体の動きがスムーズになった
まとめ

Z社の経営層コーチングを通じて、組織運営の大きな変革が生まれた。

事業本部長クラスが主体性を持ち、新規事業の立案が進み、事業の責任者として経営視座を身に着けながら、次世代リーダーとしての評価を進めることもできた。これにより、経営の負担が分散。社長が戦略業務に集中できる環境が整い、次の成長フェーズへと移行する準備が整った。

今後も、Z社が持続的に成長し続けられるよう、リーダーシップの強化と戦略実行のサポートを継続していく。