「このまま“◯◯カンパニー”で終わっていいのか?」──K社・創業社長のゆらぎから始まった組織変革の12ヶ月
どのような支援を通じて、どんな変化が生まれたのか?
ここでは、現場とリーダーが動き出したリアルな変化の物語をご紹介します。
物流・倉庫の不動産投資顧問K社 経営者向けエグゼクティブ・コーチング
要件 |
業種:物流・倉庫の不動産投資顧問K社 |
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期間 | 6ヶ月×2クール |
成果・ハイライト
- 「社長がすべてを決める」体制から、リーダー層に権限を委譲し、組織全体の自律性が向上。
- 人事機能を立ち上げ、採用・定着の質が向上。現場の安心感と人材の安定確保を実現。
- 経営トップ自身も「心の充足感」を実感し、組織と個人が共に成長する土台が整備された。
レポートReport
第一章:「社長の味方は誰もいない」── 組織の揺らぎが映した、沈黙の問い
K社の創業社長がコーチングを導入したきっかけは、社内で不満の声が高まり、組織が揺らぐ出来事があったことだった。
「社長が全部決めて、現場は疲弊している」
「社長のせいで辞めていく人が多い」
そんな空気が社内に広がり、明確に意見がぶつかる場面が出てきた。
社長自身も還暦を超え、「今後は任せていかないと」と考えてはいたが、
「結局、全部自分が責任を取らないと終わらない」
「“◯◯(社長の名前)カンパニー”って言われるのも事実だから」
と、無意識に“背負う構造”を手放せずにいた。
実際、K社は業界でも珍しい、物流・倉庫の不動産投資を担う専門性の高い企業だった。
その精度と責任を、ひとりで握ってきたという自負と孤独があった。
第二章:「全部自分で決めなくても、組織は回る?」── はじめての権限委譲と信頼の布石
第1クールのコーチングでは、まず社長自身が「なぜすべてを自分が決めているのか?」を問い直すところから始まった。
「責任を取る=全部決める」ではない。
「人に任せる=無責任」でもない。
そんな思い込みに気づいたとき、社長ははじめて、人の力を“信頼”する選択をした。
その象徴が、人事部長の登用である。
これまで「採用も評価も全部自分がやってきた」状態から、人に任せるという初めての判断だった。
「人の領域は、人に任せてもいいのかもしれない」 そう感じ始めた社長に、小さな変化が生まれはじめた。
第3章:「人が育つ組織は、いい人が集まってくる」── デリゲーションの先に見えたもの
第2クールでは、より具体的に「人を活かす経営」を進めていった。
登用された人事部長に、採用・評価・定着支援まで一任。
これまで「現場を壊す人」「辞めていく人」が後を絶たなかった会社に、
「ちゃんと向き合える人」 「安心して働きたいと思える人」
が自然と集まるようになった。
社長はこう語った。
「毎晩、経営のことが頭から離れなかったけど、今は心の充足感があるよ」
それは、諦めではなく、信頼に裏打ちされた実感だった。
まとめ:「“任せる”という問いを引き受けたとき、組織は変わりはじめる」
K社の変化は、「正解を出す」ことではなく、「問いを引き受ける」ことで始まった。
「自分が全部やらなきゃいけない」という問いに飲み込まれていた社長が、
「任せた先に何が生まれるか?」という問いに目を向けたとき、
組織に「信頼」が芽生え始めた。
今、K社は“◯◯カンパニー”から、“みんなでつくる会社”へと、静かに問い直しを始めている。
Relation Shiftは、K社のように「問いによって、組織がやわらかく変わる」瞬間に寄り添い続けていく。