「ヒアリングって何を聞けばいいの?」──T社技術者たちが見つけた“対話の価値”の4ヶ月
どのような支援を通じて、どんな変化が生まれたのか?
ここでは、現場とリーダーが動き出したリアルな変化の物語をご紹介します。
通信会社T社 IT技術者向けヒアリング力向上研修
要件 |
業種:通信企業T社 |
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期間 | 4ヶ月 |
成果・ハイライト
- 技術者中心だった組織に、顧客課題を掘り下げる「対話力」が浸透し、提案精度が大幅に向上。
- 商談現場でのヒアリング力向上により、5,000万円規模の受注獲得に成功。
- 「仕様対応型」から「価値共創型」への意識変革が起こり、現場に新たな提案文化が根づき始めた。
レポートReport
第1章:「聞く」とは“仕様を正確に実行すること”だった
T社では、これまでのビジネスモデル上、エンジニアが自ら顧客の課題を掘り下げて提案を行う機会は少なかった。技術者たちは「仕事を取る」ための対話ではなく、「与えられた仕様を正しく遂行する」ためのヒアリングを主としてきた。
「課題を聞き出す?そんなこと、今までやったことがない」
そんな背景もあり、“ヒアリング”に対する否定感こそなかったものの、実際には「何を、どう聞けばいいのか?」という戸惑いが広がっていた。
第2章:「聞けているつもり」から「聞けていなかったかもしれない」へ
研修が始まった当初、現場からはこんな声もあがった。
「これまで、確認事項は聞いてきた。でも、課題を“掘り下げる”ような聞き方はやったことがない」
この状況に対し、研修では以下のスキルを重点的に取り入れた。
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確認質問・対称質問:意図や背景を探るための聞き方
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「事実」と「解釈」を分ける視点:曖昧な理解のズレを防ぐ
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時間軸(過去・現在・未来)で課題を捉えるフレーム
毎回のセッションでは、業務で実践した内容を共有し、ロールプレイで体感しながら「聞けていたと思っていたことが、実は聞けていなかった」と気づく機会を作った。
第3章:「聞く」ことが、提案を変えた
研修を重ねる中で、技術者たちのなかに次のような変化が芽生えていった。
- 「技術の話に入る前に、相手の立場で問い直す時間を持つようになった」
- 「確認質問を重ねることで、“相手の言っていることの本当の意味”が見えてくる実感があった」
- 「これまで“質問してはいけない”と思っていたけど、むしろ“質問してくれた方が助かる”と言われた」
特に、「確認質問」や「対称質問」を使ったロールプレイは現場感覚に即しており、実践的にスキルを習得する助けとなった。
その結果、研修で得たスキルを活かして臨んだ商談の中で、5,000万円規模の受注獲得にも成功。技術力だけでなく、ヒアリング力が売上に直結するという手応えをチーム全体で得ることができた。
まとめ:「聞く」とは、“相手の未来を一緒に考える”ことだった
T社のヒアリング研修は、「提案を成功させるには何が必要か?」という問いから始まり、
「相手の言葉を正確に受け止める」
「聞きながら、一緒に考える」
という視点へと、技術者たちの認識が変わっていったプロセスだった。
今後もRelation Shiftは、T社のように「技術+対話」を武器とするプロフェッショナルたちと共に、価値ある提案を実現する現場を支え続けていく。