技術者の視点転換|ヒアリング力向上がもたらした提案改革
ITコンサルティングF社 IT技術者向けヒアリング力向上研修
要件 |
東証グロース市場 / 年商1〜99億円 提案窓口となるエンジニアのヒアリング力向上による提案精度の改善 |
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期間 | 6ヶ月 |
実施内容
F社では、エンジニアが顧客の課題を正しく理解し、的確な提案につなげるためのヒアリング力向上研修を実施した。技術者としての専門性だけではなく、顧客との対話の質を高めることで、より適切なソリューションを提供することを目的とした。
研修では、「エンジニア脳から顧客脳へ」 の転換を図るために、以下のスキルを習得した。
- オウム返し:顧客の話を正確に捉え、共感を示しながら深掘りする
- 時間軸で聞く:過去・現在・未来の流れを整理し、問題の本質を理解する
- 役職・役割の視点で聞く:相手の立場を考慮し、目的に応じた質問を行う
これらのスキルをロールプレイングやディスカッションを通じて実践し、現場で即活用できる形で習得した。
レポートReport
背景
F社では、企業の成長に伴い、エンジニアが顧客との直接のやり取りを行う機会が増えていた。しかし、技術的な視点に偏った会話が中心となり、顧客の真のニーズを引き出せないまま、ズレた提案が行われるケースが散見されていた。
具体的には、以下のような問題があった。
- 顧客が抱える課題の全体像を把握できず、提案が一部分に偏る
- 技術的な議論が中心となり、顧客の本質的な要望を見落としてしまう
- 認識のズレによって、導入後のトラブルや追加対応が発生する
これらの課題を解決するため、本研修では「聞く力」を鍛え、より深いレベルで顧客と対話する能力を養うことを目標とした。
課題
- エンジニアが技術的な話に終始し、顧客の本質的な課題を引き出せていない
- 顧客が本当に求めているものを正しく理解できず、提案が的外れになる
- 組織の拡大に伴い、社内外でのコミュニケーションの精度を上げる必要がある
- ミドルマネジメント層がチームの課題を適切に拾い上げ、組織の成長を促す必要がある
研修内容
全6回、1回3.5時間(オンライン・オフライン) の形式で実施し、毎回宿題の振り返りを行いながら、段階的にスキルを習得した。
研修全体の構成
- マインドセット:エンジニア脳から顧客脳へのシフト
- ヒアリング①:基本スキルの習得(オウム返し・時間軸・役職の視点)
- ヒアリング②:事実と解釈を分けて聞くスキルの強化
- ヒアリング③:ロールプレイングを通じた実践トレーニング
- ヒアリング④:対称質問を活用し、より深い情報を引き出す
- プレゼン・クロージング:ヒアリング結果を踏まえた提案力の向上
また、研修の特徴として、毎回宿題を設定し、受講者が実際の業務で試行錯誤する時間を確保した。研修の中だけで学ぶのではなく、日々の業務で実践し、次のセッションで振り返る形式を採用 したことで、受講者の成長スピードが加速した。
成果
研修を通じて、参加者のヒアリング力に大きな変化が見られた。
- 技術的な説明に頼らず、顧客の目的に沿った質問ができるようになった
- 話を聞く際の意識が変わり、相手の立場を考えながら質問するようになった
- ヒアリングで得た情報をもとに、より的確な提案ができるようになった
特に、5回目のロールプレイングでは、ほぼ全員が「オウム返し」「時間軸」「役職・役割」を組み合わせた質問を実践し、顧客の本質的なニーズを引き出すことに成功した。また、研修後には、顧客対応の質が向上し、提案の精度が向上したとのフィードバックが多数寄せられた。
参加者の声
- 「これまで意識していなかった“時間軸で聞く”ことの重要性を実感した」
- 「顧客が本当に伝えたいことを理解しようとする姿勢が身についた」
- 「エンジニアとしての役割だけでなく、顧客の課題解決パートナーとしての視点が得られた」
- 「オウム返しを実践したところ、顧客がより多くの情報を話してくれるようになった」
まとめ
F社のエンジニアにとって、本研修は「技術力だけでは通用しない」という新たな気づきをもたらした。顧客の課題を正しく理解し、「聞く力」を武器にした提案ができるエンジニアが増えたことで、組織全体のコミュニケーションレベルが向上した。
今後も、より高度なヒアリング力・提案力を身につけるための研修を提供し、F社の成長をサポートしていく。