「なんで、こんなに振りづらいんだろう?」──管理職たちの“ぼやき”が変えたチームの動き
どのような支援を通じて、どんな変化が生まれたのか?
ここでは、現場とリーダーが動き出したリアルな変化の物語をご紹介します。
製造メーカーA社 管理職向けコミュニケーション研修
要件 |
業種:製造メーカー A社 |
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期間 | 4ヶ月(全4回) |
成果・ハイライト
- 仕事を抱え込みがちだった管理職たちが、”任せることでチームが動く”手応えを実感。
- 指示出しと任せ方が変わり、部下育成に対する意識にも変化が芽生え始めた。
- 4ヶ月の支援を通じて、チーム運営に小さな成長サイクルが生まれ始めた。
レポートReport
第1章:「仕事、振れないんだよな…」というぼやきから始まった
A社では「コミュニケーションの活性化」が全社の教育テーマに掲げられていた。若手向けの研修が進む中で、「そもそも管理職がうまく部下に仕事を振れていないのでは?」という問題意識が浮上。
実際にヒアリングしてみると、管理職からは「部下に頼むより自分でやった方が早い」「負担をかけたくない」「どう振ればいいかわからない」といった声が多く聞かれた。
「なんで振れないんだろう」というより、「仕事、振れないんだよな…」という、あきらめや罪悪感混じりのぼやき。それが、組織の“止まり”の正体だった。
第2章:「仕事を振る」にもレベルがある?
本研修では、管理職が“適切に仕事を任せられる状態”になることを目標に、以下の内容を段階的に学んでいった。
(1)3段階の「仕事を振るレベル」
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レベル1:仕事を振れない(抱え込む/残業/相手の顔色を気にする)
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レベル2:仕事は振るが、押しつけに見えてしまう(確認不足)
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レベル3:事実に基づき、目的や背景も伝えて任せることができる
ワークを通じて、自分が今どのレベルにいるかを可視化し、どうすればレベルアップできるのかを考える時間となった。
(2)「伝わる」ためのコミュニケーション練習
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事実と解釈を分けて伝える
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指示内容の明確化(目的/ゴール/期限)
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ヒアリングと確認質問による“ズレ”の解消
動画教材・ロールプレイングを使いながら、現場でよくある“伝わったつもり”の指示を検証し、リアルな改善に取り組んだ。
第3章:「自分がやった方が早い」を手放すために
研修の後半には、管理職たちの口からこんな言葉が聞かれるようになった。
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「仕事を任せることで、部下の反応や動き方が見えるようになった」
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「“頼むこと”は育成でもあるんだ、と実感した」
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「相手がどう受け取っていたか、確認するようになった」
全員がすぐに変化したわけではなかったが、各々が自分の「振れなさ」と向き合い始めた4ヶ月だった。
実際に、ある管理職は「仕事をえいやで振ってみて、初めて“任せても大丈夫かもしれない”と思えた」と語り、チーム運営のスタンスに小さな変化が芽生え始めていた。
まとめ:「任せる」は、管理職だけの課題ではない
本研修を通じて見えたのは、仕事の“任せ方”が変わると、チームの空気も動き始めるということだった。
A社の管理職たちの「仕事、振れないんだよな…」というぼやきが、「部下の力を信じて任せる」という行動へと変化し始めたこの4ヶ月。
すぐに大きく変われたわけではない。けれど、“任せる”ことへの向き合い方が少しずつ変わり始めていた。
Relation Shiftは、こうした“任せ方の再定義”を通じて、管理職の背中からチームを変えていく支援をこれからも続けていく。