【提案力向上】提案力を評価する5つの基準とは

「そもそも提案ができず、顧客先から帰ってくる若手社員が多い」という話を、営業育成担当者から伺うことがある。しかし、成果を出している社員と、そうでない社員の違いを明確に語れる担当者は少ない。そもそも、提案力にも成長段階があり、その段階を通過しない限り、高度なスキルは活かされず宝の持ち腐れとなってしまう。今回は弊社で、提案力を5つの段階にまとめたものを公開する。

そもそも提案力とは何か

辞書で引くと提案とは「議案意見提出すること。また、その議案意見」という意味である。つまり、文面通りに整理すると、議案や意見を提出する力が提案力と言えよう。しかしながら、この「提案」という単語が、それぞれの段階によって全く違う意味を持つ。実は評価の仕方は「提案」における意味合いを測ることで可能である。

評価の方法

先程伝えた通り、5つの段階、それぞれが「提案」という意味を、異なるイメージで捉えている。もちろん、「あなたは提案に対してどう捉えていますか?」などと聞いても、その相手は無意識に意味づけしているから、絶対にわからない。

しかし、日々の言動や行動を見れば、一目瞭然で、提案に対する意味合いが見えてくるのだ。これから紹介する5つの段階と、貴社の現状と照らし合わせながら、評価してみてほしい。

段階1 御用聞き提案

まずご紹介するのが「御用聞き」という段階だ。下記のような会社に多い。

  • 業種問わず、営業する必要がなく太客によって続いている企業
  • 下請け先として認知が進んでおり、何もしなくても仕事が振られていた企業

特に提案する必要がなかったために、先に発注元から「◯人必要なんだけど、集めて」といった要望が来て、それに対応する形で契約を頂いている状態だ。自分たちから提案するような機会が必要ない(=その状態でも利益が出ている)場合は、基本的には御用聞き提案にいると認識していただいて問題ない。

この場合、提案は「回答」の意味合いを持つ。顧客から与えられた要望に対して、「受けられるか・受けられないか」を回答している状態である。

段階2 強み提案

続いてのご紹介は「強み提案」の段階だ。これは次の会社に多い。

  • 新市場を開拓しているベンチャー企業
  • 既存市場ではあるが、慣習に縛られず、新しいやり方・アプローチを実践する企業

御用聞き提案と違うところは、顧客から与えられた要望に対して「受けられる+自社自慢」を欠かさない点だ。強み提案の段階では、顧客のニーズを深掘りできないが、顧客側から見ると、単なる回答しかもらえないよりも、アピールが見られるので目立つ。すると、積極性を買うという選択肢が生まれる。

つまり御用聞き提案よりも、提案が成功する打率は高いということだ。

ということで、強み提案の場合、提案のイメージは「アピール」の意味合いを持つ。顧客から与えられた要望がなくても、自社の良いところ・自慢できるところをPRしている状態である。

段階3 差別化提案

続いては「差別化提案」の段階だ。これは次の会社に多く存在する。

  • ITコンサルティング会社
  • 経営コンサルティング会社

強み提案と異なる点は「自社のアピールに、競合他社との比較が入っている点」だ。特に商品・サービスの強みを、他社を引き合いに出しながらまとめることが上手い。

この段階では、顧客に対して事実ベースでの確認をするが、ニーズの深掘りはしない。そして、ヒアリングした事実に基づき、自社に優位な形で論理を展開し、納得してもらうために提案(説得)を行う。顧客からすると強み提案と比較したときに、他社との比較があるため、判断がしやすく、理由も分かりやすい。当然、差別化提案の方が、段階1,2と比較すると打率は高くなる。

なお、差別化提案の提案のイメージは、「説得」の意味合いを持つ。もう少し砕けて言うならば「相手を説き伏せ、成果を出すための表明」ともいえよう。

段階4 メリット提案

続いては「メリット提案」の段階だ。ここから先の段階は、会社全体で存在していることは少なく、各社のエース級の社員が「なんとなく」やっている事をまとめている。以下のような働きをしているのであれば、その方はメリット提案の段階にいる方だろう。

  • 人脈や情報ソースなど、自分なりの情報収集先を持っている
  • 自分なりの成果の出し方や時間のマネジメント法を持っている

メリット提案が差別化提案と異なる点は、「提案に相手の顕在ニーズが入っている点」だ。他社との競合比較があり、事実ベースで自社の強みを語っても、相手にとってメリットを感じなければ、その提案は意味のないものになってしまう。そこで必要なのがヒアリングだ。

現状、顧客が1つの事実に対してどのように思っており、今後どうしたいのか?という、現状と理想のギャップを伺い、そのギャップを埋めるために、自社の商品・サービスがあるという風に繋げる提案を行うのが、メリット提案だ。当然、顧客からすると「自社の言いたいことを分かってもらっている」という安心感を持つので、1-3の提案よりも打率は高くなる。

なお、メリット提案の提案のイメージは「相手の納得」の意味合いを持つ。相手に納得してもらうために、相手の脈絡で語ろうとするように、変化する。

段階5 ニーズ提案

続いては「ニーズ提案」だ。この提案をする人は、0.001%くらいしかいない。私も出会った中でニーズ提案をしてくれそうな方は、歴代続く資産家で、スタンダード上場企業創業者の方と、プライム市場で老舗コーヒー店の次期社長候補の方くらいだ。「こんな世界もあるんだ」程度に話を聞いていただけると嬉しい。

ニーズ提案がメリット提案と異なる点は「提案に相手の潜在ニーズが入っている点」である。メリット提案の段階では、仮説がところどころ自分よがりになるところが多く、顧客との前提が少々ズレるところがある。また、顧客がメリットと感じていても、それは顧客でも知らないニーズにたどり着いておらず、商品・サービスを使用し続けることで違和感が発生してくる。

ニーズ提案の場合はその逆で、はじめは顧客のなかで「?」がたくさん出てくる。しかしその提案を信頼して商品・サービスを使い続けてみると自身が本当に目的としていた内容だった事に気づき、感動が生まれる。一度使い始めたらリピート率がとても高いのがこのニーズ提案だ。

なお、ニーズ提案の提案イメージは「共創」の意味合いを持つ。提案した瞬間に出てくる顧客の反応を見ながら商品・サービスを即座にカスタマイズして、顧客との対話から商品を開発してしまう。

10分程度の習慣をカスタマイズすることで段階が上がる

今回は評価方法と評価の内容を紹介したが、貴社はどの段階にいたか何となくおわかりになっただろうか。上記の段階説明は、自身の理解が及んでいないと読めない文章になっているので、自身の理解がおいつている段階で、貴社を評価していただければ嬉しい。

なお、我々も多くの営業トレーニングやマネジメントトレーニングを行ってきたが、1,2の段階にいる方が80%以上であることは検証済みだ。1-2の状態を3に変えるだけで、劇的に提案力は変わり、営業の質・打率に変化が見られるだろう。

そのための方法は、日常のマインドセットとアクションの習慣を変えることにあり、1日たった10分程度で、できる内容でもある。貴社にカスタマイズしながらマインドセットとアクションの習慣を作成していくので、興味があれば、「この記事を見た」とご連絡をいただけると嬉しい。