【タイプ別】ハードネゴシエーションが必要になる理由
この記事は「半値にしないと、御社との取引は今後難しいですよ」「言い方ってものがないんですか?」などの、ハードネゴシエーションをよく強いられる営業マンに向けて書いている。
なお、この記事の結論は「ハードネゴをする必要がない関係構築をしましょう」である。もし、あなたがハードネゴの方法、例えば強い要求への返答方法や論理武装して契約を勝ち取る方法を知りたいのであれば、それは別のサイトで探してもらえれば嬉しい。
視座の高さで交渉内容が変わる
そもそもハードネゴシエーションが必要になってしまう原因を抑えているだろうか?各タイプ別に、原因を話していきたい。
①御用聞き営業マン
その名の通り、言われたことだけをこなすタスク型の営業マンだ。
例えば、あなたが住宅購入を考えているとしよう。
あなたが「家を買いたい」と営業マンに伝えたとする。すると御用聞き営業マンは言われたとおり、カタログを持ってきた。そして通り一遍の説明をし、次の見学会や住宅ローン相談会に案内された。
あなたが「見学会は自宅から車で送って欲しい」といえば、御用聞き営業マンは実際に自宅に迎えに来てくれて、「もっとこういうデザインにしたいんだよね」といったら「そうですよね、検討してみます」とNOを全く言わない。
見積もりが出たときも「もう少し安くなるかもしれません、いや、でも無理かもしれません」等と曖昧な受け答え。
するとあなたは「だったら、もっと安くなるって事だよね?4,000万で見積もり出ているけど、これ3,000万とかにならないの?」と、だんだんと強気な口調で交渉していく。。
さて、まとめると、御用聞き営業マンの視座は、
- 顧客の◯を取らないと売れない
と考えている。
そうなると、関係構築の特徴としては、
- 顧客の要望を優先する
- 「それはできない」と言えない
- 顧客の意見と異なる提案を出せない(たとえそれが専門家として良いと思った事でも)
このようなコミュニケーションをする。
だから、顧客からみると、下記のような印象を持つ。
- 人柄は悪くない
- 話は聞いてくれる
- 本当は+αの提案が欲しい
- 曖昧な表現が気になる
ということで顧客は、自らの要望を大きくし、最終的に少しでも得をするために値段の交渉に入る。
こうして御用聞き営業マンは、価格のハードネゴシエーションを強いられる事が多いのだ。
②情緒型営業マン
顧客の「好き」という感情に乗っかり、夢をふくらませるような営業マンだ。
同様に、あなたが住宅購入を考えているとしよう。
住宅展示場に入ったあなたは、情緒型営業マンに「このキッチンは子供の勉強も見れるような設計になっているんです。きっとお子様も、お父様お母様との時間も増えて、笑顔が増えますよ!すごく良いですよね?」と、説明のような、営業マンの感想のような話が続く。
書斎が気になっていたあなたは、書斎を見たときに「この収納は良いですね!」と言うと「そうなんです!収納があるだけで、本だけでなく、家の細々した思い出の品などもしまえて、使い勝手が良いんですよ!すごく良いですよね?」と返ってくる。そういう事ではないんだが、まぁ収納が便利なのは変わらないから良しとした。
書斎の話で盛り上がってしまい、あまり他の説明が受けられずに、とりあえず要望を伝えて、後日見積りを頂いた。
ただ、あまりピンと来ない。そもそも、こちらの要望を出す前に、きちんとした説明を受けたかった。
あなたは「もう少し、詳しく家全体の話を聞かせてもらってもいいですか?」と聞いたら、すぐにパンフレットを出して話し始めるものの「お客様はアイランドキッチンがお好みなんですよね?すごく良いですよね?」と、好き嫌いの話が続く。大きな買い物なんだから、もっと建設的に考えたい。
大きな買い物だからと思い、あなたは「もっと建設的に話せませんかね?」と伝えた。
すると情緒型営業マンは「わかりました!それで、お客様好きな書斎なんですけど〜」と話が進み、結局、話が進まない。
いい加減にしろと思ったあなたは「だから、部分じゃなくて全体の話を、最後までしてもらえますかね!?こんな説明じゃいい加減メーカーさん変えますよ?」と怒り気味に伝えた。。
さて、まとめると、情緒型営業マンの視座は、
- 顧客と「好き」を共有しないと売れない
と考えている。
そうなると、関係構築の特徴としては、
- 自分と相手の共通点を探す
- 相手の好きと自分の好きを当てはめようとする
- 「それ、良いですよね?」を多用する
このようなコミュニケーションをする。
だから、顧客からみると、下記のような印象を持つ。
- 楽しい気分になる
- 自分の好みを分かってくれる
- 建設的な話ができない
- シビアな所も教えてほしい
ということで顧客は、ちゃんと話をしてもらうために、内容の論理性・正確性を訴える交渉に入る。
こうして情緒型営業マンは、提案内容のハードネゴシエーションを強いられる事が多いのだ。
③説得型営業マン
続いては、差別性を訴えてお客様の「NO」を潰していき、説き伏せるような営業マンだ。
同様に、あなたが住宅購入を考えているとしよう。
あなたが展示場に入った途端に、説得型営業マンが、カタログを片手に家の紹介をしながら、「この床ですが〜このパントリーは〜」などと、商品の良さを伝えていく。更に、太陽光パネルや抗菌タイルなど、オプションの説明にも余念がない。
「そんなには必要ないかな」とあなたが要望を伝えようとすると「いやいやお客様、これからの時代はスタンダードになるものですから」と言われる。そういうもんなのかと考えていると、矢継ぎ早に「お客様はお二人お子様もいらっしゃいますし、子供部屋については、こうした機能を持たせたものが良いのではないでしょうか?」と提案が続く。
あなたは、とりあえず要望を伝え、後日見積もりを出されてビックリした。
細かい要望と違う形で見積もりが出ている上に、予算オーバーなのだ。
営業マンは「お客様のご要望にお応えすると、どうしても値段がご予算よりもはみ出てしまっています」と言うが、そういうことじゃない。
営業マンが、あなたの話を聞かずに、営業マンの持ち込みたい流れに引きずろうとしているのが見え見えなのだ。
あなたは堪忍袋の緒が切れて、こう言った。「ちょっとあなたでは埒が明かないので、上の人を呼んでもらえますか?」
すると営業マンは「お客様、何か説明が足りないようでしたら私が行いますが」という。正直呆れたあなたは、「いや、そういうことじゃないんだ。もう他のメーカーさんにお願いしますよ?」と、感情的なネゴシエーションが始まった。。
さて、まとめると、説得型営業マンの視座は、
- 顧客の否定を潰さないと売れない
と考えている。
そうなると、関係構築の特徴としては、
- 否定されない論理を使う
- 説得可能な論理展開に当てはめようとする
- 顧客の意見を聞いているが話半分
このようなコミュニケーションをする。
だから、顧客からみると、下記のような印象を持つ。
- 理路整然と話してくれる
- 商品知識は豊富、わかりやすい
- こちら側の要望を聞いてくれない
- 結局売りたいだけじゃないのか?と疑わしくなる
ということで顧客は、ちゃんと話を聞いてもらうために、関係の再構築を求めた交渉に入る。
こうして説得型営業マンは、人間関係のハードネゴシエーションを強いられる事が多いのだ。
視座を上げることでハードネゴシエーションは必要なくなる
弊社は1,000名以上の教育を行ってきたが、そこからみるに、上記3パターンのいずれかに当てはまる人は、99%である。
では、残り1%は何を考えて、顧客と向き合っているのか?というと、実は上記3パターンとはまったく別の視座から物事を判断している。
だから、顧客とハードネゴシエーションする必要がないのだ。
つまり上記3パターンには、共通の特徴があり、そこから抜けないから、ハードネゴシエーションが生まれてしまう。
視座を上げ、ハードネゴシエーションの必要をなくし、顧客との信頼関係を深く構築する人材を育成したい方は、こちらの資料をご覧いただけると嬉しい。