報連相しない部下|任せ方の匙加減より先に見直すべきこと

「部下が報連相しないんですよ。しないというか、相談を待っていたら炎上していたことがあって。だからといって毎度口出しするとマイクロマネジメントになるし、そこの匙加減ってどうしたらいいんですか?」

こんな話をよく聞く。

気持ちはよくわかる。現場を回しながら、部下の自主性も尊重したい。そのバランスを探しているのだ。

ただ、この悩みはどうしても「匙加減」の話に偏ってしまう。匙加減を調整する前に、報連相の基準を見直さないと、第一ボタンを掛け違えたまま調整し続けることになる。

その第一ボタンとなる質問は「あなたは、報連相の目的を部下に説明できるだろうか?そして、その目的に基づいた対応をしているか」である。

そこが曖昧なまま「ちゃんと報連相して」と言っても、部下には何をどうすればいいかが伝わらない。

報告・連絡・相談、それぞれの目的を整理する

まず定義を整理する。

報告と連絡は、事実を共有することが目的だ。進捗がどうなっているか、何が起きたか、それを伝える行為である。(正直なところ、報告と連絡の厳密な違いを問われると、答えに詰まる管理職も多い。それだけ曖昧に使われているということでもある)

相談は少し違う。事実があったうえで、部下自身の解釈を加え、上司に意思決定を求める行為だ。「こういう状況で、自分はこう判断しようと思うのですが、どうでしょうか」という構造になる。

この違いを踏まえると、上司の反応として何が適切かが自然と見えてくる。

報告・連絡に対しては、基本的に「了解」でいいと、私は、思っている。

なぜか。シンプルに、部下がその仕事の現場責任者だからだ。

現場で何が起きているかを一番知っているのは部下自身である。1日2日のスケジュールのズレに上司がとやかく言うことは、部下の役割に踏み込むことになる。任せた仕事の責任を、上司が奪ってしまうことになるのだ。

相談に対してのみ、上司が意思決定の補助として動く。ここで初めて、上司としての役割が発揮される。

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報連相が機能しない本当の理由

ドラッカーはこう言っている。企業の目的は、顧客の創造だ。

仕事の中心は、顧客でなければならない。ところが、多くの職場で報連相が機能しなくなる根本の理由はここにある。

部下の報連相の中心が「顧客」ではなく「上司」になっているのだ。

「これを報告したら、上司に怒られないか」「このタイミングで、上司に相談していいか」――こうした問いが先に来る時点で、仕事の主語はすでにズレている。上司の顔色を読むためのコミュニケーションになってしまっている。

しかし、これは部下だけの問題ではない。上司自身も「数字管理のためのツール」として報連相を使っている場合、同じ構造に陥っている。

また、上司が社長を向いて仕事をしていれば、部下も上司を向いて仕事をする。どこかで誰かが「顧客を中心に置く」という軸を持たなければ、組織全体が内側を向いたままになる。

そうなるのは、仕方ない面もある。整理すると長くなってしまうが、日本の組織の構造上、そうなりやすい。ただ、そのままでは仕事は回らない。

上司が先に自分を問い直す

では、どうすればいいか。

子供が変わる前に親が変わろうとするように、部下を変えようとする前に、上司が先に自分を問い直すことだ。

その問い直し方は「自分(もしくは自分の上司)中心か、顧客中心か」という問い直しだ。

顧客を中心に置いたとき、ただ数字だけを吸い上げても意味がないと分かる。

部下の言葉に耳を傾けず、勝手に自分自身が判断しているところや、顧客起点ではなく、自社の目標達成のために、顧客に無理やり押し付けるような提案をするなど、緩みが見えてくることがある。

そこで「ここは自分の判断が間違っていた」「顧客を中心に考えれば、こうすべきだった」――そう上司が先に言える関係が、理想形だ。

もちろん、上司も完璧ではない。だからこそ、顧客中心という共通の軸を持って、互いの甘えや緩みを出し合える関係が生まれたとき、報連相は自然と機能し始める(それを1年続けても、部下が変わらないのであれば、それはまた別の問題かもしれないが、感覚値では9割の管理職は、顧客中心軸で日々コミュニケーションを取っておらず、自分の「よかれ」が働いている)

指導や管理で部下を動かそうとするのではなく、同じ軸で一緒に考える関係をつくること。

それが、報連相が機能する職場の本質だと思っている。

まとめ|型ではなく、軸を持つ

「報連相しない部下」を問題にしている管理職に、一度こう問い直してほしい。

あなた自身は、顧客を中心に置いて仕事ができているか。

報告・連絡・相談それぞれの目的を説明できるか。部下の現場責任を奪っていないか。自分の甘えや緩みを先に認められるか。

報連相という型に縛られる必要はない。顧客を中心に置いた役割認識が共有されれば、必要なコミュニケーションは自然と生まれる。型ではなく、軸を持つことが先だ。

一人で抱え込まなくていい。顧客を中心に置いた組織づくりや、現場のコミュニケーション改善に、伴走するのが弊社の役割である。ぜひ、これをみた管理職の方は、記事を共有していただき、育成責任者や事業責任者は、気軽に相談してほしい。

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この記事を書いた人

吉川健一

吉川 健一

取締役/講師

エンジニア出身の提案力・ヒアリング力向上専門講師。群馬大学大学院情報工学専攻修了後、富士フイルムでITエンジニアとして従事。その後営業に転身し、Johnson & Johnsonでトップセールスを3度受賞。技術者の思考回路を知るからこそ、「なぜ提案が刺さらないのか」を構造から解説できる。登壇100回以上の研修実績をもとに、現場で再現できる対話設計をテーマに執筆中。