管理職が実践したい、相互理解を深める3つのポイント

「相互理解を深めようとしていますか?」と管理職の方に聞くと、多くが「やっている(つもり)」と答える。しかし、研修で「部下を褒める」という課題を出すと、「これは難しいですね〜」と悩む方が多い。なんとなく意識しているつもりでも、今の時代に必要な相互理解のポイントや具体的な深め方を学んだことがないため、こうした反応が出るのだろう。

相互理解はシンプルだが、人間の認知の仕組み上、難しく感じてしまう。この「難しさの理由」は別記事で解説しているので、今回は実践方法にフォーカスする。管理職のあなたが「なんとなくやっていた」相互理解を見直すきっかけになれば嬉しい。

管理職も相互理解の方法を教わったことがない

あなたが部下だった頃を思い出してほしい。上司から丁寧な質問を受け、事実を共有しながら解釈を確認し、共通の目的のもと進めていく対話をした経験はあるだろうか?

おそらく、ないだろう。これは、時代的に対話型マネジメントよりも指示・命令型が求められていたからだ。しかし、今は対話型が必要な時代になっている。

管理職のあなたにとっては「面倒なこと」と感じるかもしれない。しかし、見方を変えればチャンスでもある。なぜなら、対話型マネジメントはこれまで誰も十分に実践してこなかった、いわば未開拓の市場だからだ。

つまり、新しく取り組んだ人が成果を出せる。先行者利益を得られるこの機会に、対話型マネジメントを極め、トップ5%の管理職を目指してほしい。

シンプルに実践できる3つの相互理解の方法

相互理解の前提として、「お互いを100%理解することは不可能」と知ることが重要だ。しかし、この前提に立っている人は全体の5%にも満たない。なぜなら、これまで相互理解を深める必要がなかったからだ。

そのため、まず「100%理解は不可能」という意識を持つことが実践の第一歩である。この視点を踏まえ、3つの具体的な方法を紹介する。

1.「褒め2:アドバイス1」ルール

部下を褒めた経験がない(上司から褒められた経験もない)管理職は多いが、それでも「褒めましょう」と研修で伝えている。その理由は、相互理解において最も大事なのは「相手を観察すること」だからだ。

褒めない管理職は、①部下を放置するか、②アドバイスばかりするかのどちらかに偏りがちだ。

  • 放置型:「上司の背中を見て育て」は、今の時代では「相互理解をする気がない」と受け取られてしまう。まずは部下に興味を持って接してみてほしい。

  • アドバイス型:「押忍!実践します!」とはならず、「アドバイスよりまず話を聞いてほしい」と思われがち。まずは相手の良いところに目を向けることが重要。

そこで、「2回褒めたら1回アドバイスできる」というルールを実践してみてほしい。実際にやってみると、褒めるポイントが意外と見つからないはずだ。だからこそ、部下をよく観察するようになり、これが相互理解の一歩につながる。

2. 質問が来るまではやらせる

部下が質問をするまで、上司は口を出さず見守ることが大切だ。しかし、ここでも放置型とアドバイス型の違いが出る。

  • 放置型:「質問が来るまでやらせている」と言うが、いざ質問が来たときにどう対応しているかがポイントだ。もし「それは自分で考えて」と突き放しているなら、それは単なる放置であり、相互理解ではない。

  • アドバイス型:「どれくらい待てばいいのか?」と不安になるだろう。しかし、上司の役割は、部下が自分で考える力をつける環境を作ることだ。

ある経営者は「1つのミスで会社が潰れるなら潰してみなさい」と冗談交じりに話していた。ぜひ、部下を信じて待つことを意識してほしい。

3. 失敗させるまでフォローしない

「質問が来るまでやらせる」と似ているが、あえて強調したいポイントだ。それだけ「任せる・やらせる」ことは難しい。

  • 放置型:「任せている」と思っていても、部下の状況を把握していない場合、それはただの放置である。部下が失敗してもフォローできる体制を整えるのが上司の役目だ。

  • アドバイス型:失敗を恐れすぎる傾向がある。しかし、振り返ってみると、自分が成長した瞬間は「自分で決めて失敗したとき」ではなかっただろうか? 失敗は学びの機会となるため、過度なフォローは不要だ。

まとめ

相互理解を深めるには、「お互いを100%理解するのは不可能」という前提を持つことが重要だ。その上で、次の3つの実践を試してみてほしい。

  1. 「褒め2:アドバイス1」ルールを実践する
  2.  質問が来るまではやらせる
  3. 失敗させるまでフォローしない

これらを意識することで、「なんとなくやっていた」相互理解を見直すきっかけになるだろう。実践してみると、「自分の期待や予測は案外当てはまらない」と気づくはずだ。そうなると、「相手は自分とは違うので、わからないから聞く」というシンプルな行動に行き着き、これが相互理解が大きく進むコミュニケーション習慣となるのだ。

本記事が、新しい時代に求められる管理職として、あなたのマネジメントを進化させるヒントになれば嬉しい。

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