「当事者意識がない」は誰のせい?経営と社員の関係性を再構築する方法

「当事者意識がない」「もっと主体的に動いてほしい」といった声は、企業の現場で繰り返されている。しかし、この問題は社員の意識の問題だけではない。社員が動かないのは、動ける環境が整っていないからであり、環境が整わないのは、社員が動こうとしないからでもある。つまり、これは双方の問題であり、一方の責任にすることはできない。

弊社は、この課題に対し経営者の意識改革から着手するアプローチを取っている。なぜなら、環境を変えれば、社員の主体性が引き出され、組織の成果につながるからだ。本記事では、「どうすれば社員が動く環境を作れるのか?」という視点で、具体的な施策を解説する。

なお、管理職の意識改革からアプローチする「当事者意識がない部下への醸成方法」については、こちらの記事を参考にしてもらえると嬉しい。

目次

当事者意識とは何か?

企業の現場で「当事者意識を持て」と言われることは多いが、その定義は意外と曖昧なまま使われていることが多い。多くの場合、「主体性を持って行動すること」「責任感を持つこと」と混同されるが、もう少し定義を詳しくすることで解像度を高めていきたい。

当事者意識の定義

当事者意識とは、自分の関わる仕事や状況を「自分ごと」として捉え、責任を持ち、主体的に関与する意識のことを指す。単に仕事をこなすのではなく「この仕事をより良くするために自分は何ができるか?」と考え、行動に移す姿勢が特徴である。

この意識が強い人は、自ら課題を見つけ、積極的に解決に向けて動く。一方、当事者意識が低い人は、指示がなければ動かず、問題が発生しても「自分の責任ではない」と考えがちだ。

当事者意識は、「意識」という言葉からもわかるように、そもそも意識範囲が「自分の好き嫌い」ではなく「自分と仕事の関係」になっているため、主体性と責任感が自然と生まれるという構造だ。

なぜ「当事者意識がない」ことが問題視されるのか?

では、なぜ「当事者意識がない」ということが、問題されているのか?それは、企業が当事者意識のある社員を求めるのは、単なる「やる気」や「熱意」ではなく、組織の成果に直結するからだ。

変化が激しいビジネス環境では、指示待ちでは対応できず、柔軟に考え、自ら動ける人材が求められる。ただし、「やりたいから動く」のではなく、「組織の成果を高めるために動く」ことが重要だ。当事者意識の高い組織では、意思決定が速く、業務改善が活発になり、結果として成長につながる。

「当事者意識がない」と言われる人の特徴

「当事者意識がない」と評価される人には、どのような特徴があるのだろうか?一般的に、企業の現場では以下のような行動が見られるときに、「この社員は当事者意識が低い」と判断されることが多い。

一般的に指摘される特徴

受け身で他人任せ

「指示されなければ動かない」「自分の仕事の範囲外だと考え、積極的に関わろうとしない」といった態度は、典型的な「当事者意識がない」人の特徴とされる。たとえば、チームで課題が発生しても、「自分には関係ない」と静観し、自ら解決に動こうとしないケースがある。

言い訳や責任回避が多い

仕事でミスをしたとき、「〇〇さんがこう言ったから」「ルール通りにやっただけ」と責任を他者やルールに転嫁する人も、当事者意識が低いと見なされやすい。問題が起きた際に、「どうすれば改善できるか?」ではなく、「自分の責任ではない」と考える姿勢が見られる。

自分の都合を優先する

チームや組織の目標よりも、自分のやりたいことや都合を優先するケースもある。たとえば、「この仕事は面白くないからやりたくない」「自分にメリットがないから積極的に関わらない」といった発言が増えると、周囲から「当事者意識が低い」と判断されがちだ。

物事に対して興味関心がない

「この仕事が会社にどう影響するのか?」という視点を持たず、最低限の業務だけをこなす姿勢も、当事者意識が低いと捉えられる。新しいことにチャレンジしようとせず、ただ目の前のタスクを消化するだけの状態になると、組織に貢献しようという意識が希薄になってしまう。

「当事者意識がない」のは個人だけの問題ではない

これらの特徴を持つ人は、単に『やる気がない』わけではなく、過去の経験や組織環境によって『当事者意識を持つことにリスクがある』と学習してしまった可能性がある。

このことについて詳しくみていきたい。

企業文化、関係性、マネジメントスタイルの影響

当事者意識が低い個人が生まれる背景には、大きく分けて企業文化の影響・関係性の在り方・マネジメントスタイルの3つがある。

1. 企業文化が「指示待ち人材」を生む

「当事者意識を持て」と言いながら、実際には指示に従うことが評価される文化が根強い企業は多い。例えば、次のような企業文化では、社員が主体的に考え、行動することが難しくなる。

  • トップダウンの意思決定が強い(「上が決めたことを実行するのが仕事」)
  • ルールやマニュアルに厳しく、逸脱を許さない(「決められたこと以外はやらないのが無難」)
  • 失敗に厳しい風土がある(「挑戦して失敗すると責められるなら、何もしない方がいい」)

こうした環境では、「自分で考え、行動する」ことがリスクとなり、自然と指示待ちの姿勢が強化されていく。

2. 上司と部下の関係性が「依存」を生む

当事者意識は、単なる個人の資質ではなく、上司と部下の関係性の中で形成される。例えば、次のような関係があると、部下は当事者意識を持ちづらくなる。

  • 過干渉な上司(マイクロマネジメント)

    → 上司が細かく指示を出し、すべて決めてしまうと、部下は「考える必要がない」と感じる。
  • 指導ではなく、結果だけを求める上司

    → 失敗すると責められるが、成功しても評価されないため、「余計なことをしないほうが安全」と考えるようになる。
  • 責任の所在があいまい

    → 「この仕事は本当に自分が考えるべきものなのか?」と迷い、主体的に関わる意識が薄れる。

このような関係性のもとでは、当事者意識を持ちたくても、持つことが難しくなる。

3. マネジメントスタイルの問題

管理職のマネジメントスタイルも、当事者意識の有無に大きく関わる。「当事者意識が低い」と嘆く上司の中には、次のような問題を抱えていることがある。

  • 部下に「考えさせる」時間を与えていない

    → 「答えをすぐに出せ」と求める環境では、部下が試行錯誤する余地がなくなる。
  • 「当事者意識を持て」と口では言いながら、具体的な行動を示せていない

    → 何をすれば当事者意識が高まるのか、具体的な行動を指示しないまま、「もっと考えろ」と言っても効果はない。
  • 短期的な成果を優先しすぎる

    → 部下が長期的に学び、自律的に成長する機会を奪ってしまう。

これらの問題を解決しない限り、いくら「当事者意識を持て」と言っても、それが実現することは難しい。

当事者意識を生み出すために、経営者が問うべきこと

したがって、経営者自身が「社員の当事者意識の低さは、自分の関わり方や環境とどう関係しているのか?」と問い直すことが求められる。そのうえで、次のような視点を持つことが重要だ。

  • 「どのような環境をつくれば、社員が主体的に動きやすくなるのか?」
  • 「当事者意識を持てる仕組みが、組織の中に整備されているか?」
  • 「経営者として、役員や現場にどう働きかければ、当事者意識が育つのか?」

このような視点を持つことで、「当事者意識がない」という問題を、個人の資質や性格ではなく、組織設計の課題として捉えることができる。

ただし、これを本当の意味で考えることは、相当骨の折れる作業である。なぜならば、社員を観察し、支援するようなスタイルを常に貫いていなければ、この当事者意識を持てるような仕組みや環境設計のアイディアは生まれていないからだ。

「当事者意識がない」問題が、ずっと繰り返されている要因は、この支援型の経営・マネジメントをできる組織がないからだといえる。

そして、それこそが、当事者意識を持った組織を作る第一歩になると我々は考えている。

ここまでをまとめると、「当事者意識がない」という問題が繰り返される背景には、企業文化、上司と部下の関係性、マネジメントスタイルの影響がある。そして、「なぜ当事者意識が生まれないのか?」という問いを立てる際には、「なぜやらないのか?」ではなく「なぜそうなるのか?」という視点が必要である。

次の章では、日本の企業における「当事者意識」の歴史を振り返りながら、なぜこの問題が長年繰り返されているのかをさらに深掘りしていく。

【歴史】日本企業における当事者意識の変遷

企業における「当事者意識」という概念は、いつから重要視されるようになったのか?そして、なぜ「当事者意識がない」という問題が長年繰り返されているのか?

実は、日本の組織文化の中で「当事者意識」という言葉が強調されるようになったのは比較的最近のことである。歴史を振り返ると、日本企業の経営スタイルの変遷とともに、「当事者意識」の捉え方も変わってきたことがわかる。

1.1960~1980年代:高度経済成長期とトップダウン型経営

1960年代以降、日本は高度経済成長を迎え、多くの企業が急成長を遂げた。この時代の経営スタイルは「トップダウン型」が主流となり、組織の決定権は経営層や管理職に集中した。

企業の業績を伸ばすためには、大規模な計画を立て、組織的に実行することが求められた。そのため、従業員には「決められたことを正しく遂行すること」が求められ、個人の主体性は重視されなかった

また、終身雇用制度が強固であったこの時代、「会社が社員の人生を保証する」という意識が強く、社員は「組織の歯車として働くこと」が求められた。結果として、「指示待ち文化」が強化され、「当事者意識」は意識されにくい時代だった

2. 1990~2000年代:バブル崩壊と成果主義の導入

1990年代にバブル経済が崩壊し、多くの企業が経営難に陥った。従来の「終身雇用・年功序列」が維持できなくなり、企業は「成果主義」の導入を進めた。この時代から、「当事者意識を持つこと」が徐々に求められるようになる。

成果主義の導入により、従業員の評価は「どれだけの成果を出したか」によって決まるようになった。従来の「指示されたことを正しくこなす」評価基準から、「自ら考えて成果を出す」基準へと移行し、企業研修などでも「当事者意識」や「自律型人材」が重要視されるようになった。

しかし、この変化には大きな弊害もあった。

  • 成果を求めるあまり、短期的な目標に固執するようになった
  • 個人の競争が激化し、チームワークが低下した
  • 評価制度が曖昧で、従業員が「やるべきことが不透明」になるケースが増えた

結果として、「当事者意識を持て」というメッセージは発信されながらも、組織の在り方としては「短期的な成果重視」が優先され、社員が「自ら考えて動く」環境にはなりにくかった。

3. 2000~2010年代:心理的安全性と支援型リーダーシップの台頭

2000年代以降、IT産業の発展やグローバル化の進展により、「従来の管理型マネジメント」の限界が指摘され始める。この頃から、「心理的安全性」や「支援型リーダーシップ(Servant Leadership)」といった考え方が注目されるようになった。

この時期、Googleが「心理的安全性」の概念を提唱し、「組織の成果を上げるには、上司が従業員の主体性を引き出すことが重要」という考えが広がった。この流れを受け、日本企業でも「当事者意識を高めるには、管理職の関わり方が重要である」という視点が強くなった。

企業研修の場でも、「部下に考えさせるマネジメント」や「対話を重視するリーダーシップ」が推奨され、トップダウン型から支援型マネジメントへの移行が進んだ。

しかし、この変化には新たな課題もあった。

  • 支援型リーダーシップを実践するためのスキルやノウハウが不足している
  • 上司によってマネジメントスタイルがバラバラで、一貫性がない
  • 「心理的安全性」が「ただの甘やかし」と誤解されるケースがある

そのため、「当事者意識を持たせること」が正しく理解されず、「支援型マネジメントをやっているつもりでも、結局は従来のトップダウン型になってしまう」という企業も少なくなかった。

4. 2020年代~現在:「当事者意識」は個人ではなく、関係性の問題へ

コロナ禍を契機に、リモートワークが普及し、従業員の働き方が大きく変化した。その中で、「当事者意識がない」と言われるケースが増加したが、同時に「これまでのアプローチでは解決できないのではないか?」という問題提起も生まれた。

これまでの「当事者意識がないのは個人の問題」という視点ではなく、「当事者意識を高めるには、環境や関係性のデザインが重要」という考え方が広まりつつある。例えば、

  • 心理的安全性の確保
  • 意思決定の透明性を高める
  • 支援型リーダーシップの実践
  • 組織の評価基準の見直し(プロセス評価の重視)

といった施策が、より重要視されるようになっている。

つまり、「当事者意識の欠如=個人の問題」ではなく、「組織の設計や関係性の問題」として捉えることが、今後の企業に求められる視点となっている。

まとめ:「当事者意識」の変遷

時代 企業の特徴 当事者意識の扱われ方
1960〜80年代 高度経済成長・終身雇用 指示通りに動くことが評価される
1990〜2000年代 バブル崩壊・成果主義の導入 個人の成果責任が強調される
2000〜2010年代 IT化・心理的安全性の台頭 部下の主体性を引き出すリーダーシップが求められる
2020年代〜現在 リモートワーク・関係性重視 当事者意識は「環境・関係性」の問題として捉えられる

ここまでを通して

  • そもそも時代的にも1990~2000年代から「当事者意識」は言われ始めており、比較的最近出てきたワードである
  • 当事者意識がないことは、個人だけの問題ではなく、環境・関係性の問題も同時に存在している

ということを多面的に伝えてきた。では、経営者としてどのように関わっていけばよいか?次は実践方法について展開していく。

【実践】当事者意識の底上げをするためのアプローチ

「当事者意識がない」問題を解決するには、個人の意識改革だけでは不十分である。経営者が主体となり、組織の環境・育成・評価制度を見直すことで、社員が自ら考え行動する文化を定着させる必要がある。本章では、当事者意識を底上げするための具体的なアプローチを紹介する。

環境づくり:関係性の見直しと心理的安全性の確保

心理的安全性の確保

心理的安全性が確保されていない職場では、社員が意見を言いにくく、指示待ちが常態化しやすい。意見を自由に言える環境をつくることで、主体的な行動を促すことができる。

意見を言いやすい職場づくり
  • 「発言のハードルを下げる」:社員が発言しやすいように、全員が意見を出す機会を設ける。

  • 「話しやすい場を設ける」:少人数のミーティングや1on1の対話を増やし、心理的な安心感を醸成する。

「意見を出すと評価される」仕組み
  • 意見や提案をした社員を積極的に評価する制度をつくる(例:改善提案制度、社内表彰制度)。

  • 「どんな小さな意見でも歓迎する」文化を醸成し、発言することに価値を持たせる。

組織風土の変革

企業文化として「指示待ち」をなくし、社員が主体的に考える環境を整える。

「指示待ち文化」をなくす
  • 「何をやるかを考えさせる」文化を作る:上司が具体的な指示を出すのではなく、「どうすればいいか?」と社員に考えさせる場を増やす。

  • 「答えを与えない」マネジメント:簡単に解決策を提示せず、社員自身に考えさせる習慣をつくる。

会議で「上司が答えを言わない」仕組みづくり
  • 会議では、上司が結論を出すのではなく、社員が議論し、意思決定できる場を増やす。

  • 「あなたならどう考える?」と問いかけ、社員自身の考えを促す。

育成のプロセス:「当事者意識のある人材をどう生むか?」

目標設定の工夫

社員が「自分の仕事が会社の成果にどう貢献しているか」を明確に理解できるようにする。

組織目標と個人目標を紐づける
  • 「会社の目標→部署の目標→個人の目標」の関係性を明確にする

  • 目標設定時に「この仕事は会社にとってどんな意味があるのか?」を上司が説明する

「自分の仕事がどう会社の成果に貢献しているか」を可視化
  • 仕事の成果が会社全体に与える影響を定量的に示す(例:売上貢献率、コスト削減効果など)

  • 社内で成果の共有会を実施し、「自分の仕事がどう役立っているか」を実感できる機会をつくる

関係性のデザイン

指示命令型の関係から、対話を重視した関係へと変えていく。

「支援型リーダーシップ」
  • 上司は「命令」ではなく「支援」に回る(例:「どう進めるのがよいと思う?」と問いかける)

  • 失敗を責めず、「次にどうすればいいか?」と未来志向の対話を行う

「命令」ではなく「対話」によるアプローチ
  • 「こうしなさい」ではなく「どうしたらいいと思う?」と尋ねる習慣をつける

  • 社員が自ら意思決定する場面を増やし、自分の判断に責任を持たせる

評価制度:当事者意識を促す評価の仕組み

成果だけでなくプロセスも評価

  • プロセスを可視化する仕組み

    • 「どのように考え、どう行動したのか?」を振り返る仕組みをつくる(例:プロジェクト振り返りシート)

  • 仕事の結果だけでなく、途中のプロセスも評価する(例:新しい挑戦をしたか?主体的に取り組んだか?)

「チャレンジすること」に価値を持たせる

  • 失敗しても挑戦したこと自体を評価し、学びを促す文化をつくる

  • 「成功すれば評価される」だけでなく、「試みたこと自体に価値がある」とする仕組みを整える(例:挑戦賞の創設)

いきなりすべてを行うことは難しいので、自身の会社で「今これが必要ではないか?」と考えたところからアプローチを行っても良いだろう。現状について壁打ちしたい場合は、弊社でも無料相談をしているので、気軽にご連絡をいただけると嬉しい。

続いて、弊社が支援した当事者意識の醸成について、成功事例をご紹介する。

当事者意識を生み出す「自律型人材発掘・育成プロジェクト」(成功事例)

続いては、成功事例のご紹介だ。物流支援システム企業のZ社の事例をご紹介する。

背景

物流支援システム企業Z社では、祖業である、アウトソーシング運営に課題を抱えていた。特に、管理職を含めた従業員の多くが「指示待ち」の姿勢にとどまり、自ら考え行動する文化が不足していたため、新規案件を受託するための体制づくりが進まず、事業の停滞を招いていた。

この状況を打破するため、当社は、意識改革を中心とした研修プログラムを提案・実施した。

課題

具体的には、以下3つの課題に直面していた。

  1. 自発的行動の欠如: 古株社員を中心に、「指示通り・間違えがなく動くこと」が美徳とされる風潮が強く、新しい挑戦を避ける傾向があった。

  2. マネジメントの停滞: 管理職が現場の仕事をしてしまい、マネジメントが機能しておらず、部門間での目線や目標数字の共有が進まずにいた。

  3. 業務効率の低下: アンケートでは、無記名だと辛辣な意見が出る一方、記名では本音が隠れる傾向があり、課題解決への足取りが重い状態であった。

成果

意識改革の成果として、以下の変化が見られた。

  1. 自律型人材の増加: 一部のメンバーが「自分たちで考えて動く」姿勢を獲得し、そのメンバーを中心とした業務の効率化が進んだ。

  2. 新規受託の成功創業以来初めてとなる新規業務の受託をある拠点で実現した。これにより、変革の実感と期待がより醸成され、他拠点への成功事例の展開が可能となった。

  3. 組織全体の意識向上: アンケート結果やディスカッションを通じて、各メンバーが現状を認識し、自発的に行動する文化が醸成された。

醸成アプローチについては、具体的にこちらを参考にしていただけると嬉しい。なお、Z社の当事者意識醸成プロジェクトは2年間続いており、長い期間を経て、徐々に醸成することが成功の鍵だったと感じている。

まとめ

「当事者意識がない」という問題は、単に個人の意識や資質の問題ではなく、組織の環境、関係性、マネジメントスタイルに起因することが多い。本記事では、心理的安全性の確保、組織風土の変革、育成プロセスの工夫、評価制度の見直しといった具体的なアプローチを紹介した。

経営者としては、「なぜ当事者意識が生まれないのか?」を問い直し、環境や関係性の視点から施策を講じることが求められる。また、成功事例のように、当事者意識の醸成には一定の時間と継続的な取り組みが不可欠である。

組織の持続的成長のためには、社員が「自分ごと」として仕事に向き合える環境づくりが不可欠だ。まずは自社の課題を見極め、取り組みやすい部分から改革を進めていくことが、当事者意識の高い組織を実現する第一歩となるだろう。

より現実的に、意識改革を進めていきたい場合は、こちらの記事も参考にしたいただけると嬉しい。