営業におけるヒアリングとは?必要な理由やヒアリング力向上方法を紹介
この内容は、もっと成長してほしい営業マンの部下を持っているマネージャーに向けて書いている。
突然なのだが、あなたが部下に「ヒアリングとはなんですか?」と聞いたら、彼らはどのように答えるだろうか。
多くの営業マンは「顧客のニーズ(顕在も潜在も)を把握すること」と言うが、そんな営業マンに対して意地悪に「私のニーズは他社で商品を買うことです」などと言ってしまえば「いやいや、それはうちの魅力が伝わっていないですね」と反論が始まる。
この時点で、言っていることと、やっている事が違うことを、あなたはお分かりだろう。
先程の答えに沿うならば「他社で商品を買うことだ」と言っている顧客の潜在ニーズを拾うことがヒアリングである。しかし、顧客の潜在ニーズと自社の商品とをつなげることが出来ないから、結局自社の差別性を訴えるプレゼンに走ってしまう。
つまり、お客様のニーズを把握することを優先しておらず、「商品を売りたい」という営業マン自身のニーズを達成するために、ヒアリングしているのが大半だ。
商品の購入者からみれば「いやいや、それはオタクの都合でしょ?」という話であり、「一緒に考えている感」がない。
だから、売るためにヒアリング力を高めようとしても、結局顧客の立場に立てていないから、売れない。
このような事例は、宇宙に散らばる星の数ほど存在するだろう。
しかしながら、こんな話を部下にしても「?」が頭に出てくるはずだ。
この記事では、そんな部下に対しても、ヒアリング力の定義・理由・向上方法が分かるような記事を書いている。
目次
ヒアリングとはなにか
さて、ヒアリング力を語る前にコミュニケーションの仕組みについて話を進めていく。
そもそもコミュニケーションは3要素しかない。Input・Think・Outputの循環で行われている。この3要素で言うところのInput部分がヒアリングと言われる部分である。
従って対人コミュニケーションにおけるヒアリングとは、相手のOutput情報をInputすることにほかならない。
営業においてヒアリングが必要な理由

図表3-1-1-1 データ流通量の推移 平成26年度版 情報通信白書(総務省)より
そもそも現代において、なぜヒアリングが必要なのだろうか。
必要な理由は「情報過多」にある
その背景には「情報爆発」にある。
上の表を見てもわかるように、国際的なデジタルデータの量は、2010年と比較して約40倍になっている。それだけ、現代人は情報を大量にInputしているが、それには中々気づかないだろう。
少し角度を変えてお伝えすると、1日にあなたが食べる食事量が40倍に増えたと考えてほしい。40倍の食事が、拒否しても拒否しても運ばれてくるような状況である。「もう食べたくない」「もう運んで来ないでいいから、好きなときに食べたい」と思うのは当然だ。
このように、否が応でも情報をインプットしているのが現代社会である。
ネットを見ればすぐにリコメンドが飛んでくる。電車に乗ればつり革広告が溢れている。道を歩けば宣伝カーが走っている。オンラインでもオフラインでも、営業があちこちからやってきている。
「もう営業いらない」「好きなとき・必要な時に選びたい」と思うのは当然だろう。
また、これは顧客に限ったことではなく、営業マンだって同じ状況である。
会社のノルマ、上司からの指示、できる同僚、家族の期待といったオフラインのInput情報だけでなく、先程伝えたようなネットでの同世代の輝かしい活躍やサクセスストーリーの数々。。
「ヒアリングとかいいから、早く売りたい」「タイミングの合う顧客を見つけて早く結果を出したい」と思うのは当然だろう。
しかし、それでは、売れない。顧客もInput過多だから、アウトプットできる相手を必要としている。このように、ヒアリングは今の時代にさらに重要になっている。
ヒアリング力を上げる方法
では、そんなInput過多の時代に、営業マンのヒアリング力をいかに高めればよいのだろうか。
よく、営業マンのヒアリング課題を伺うと「深堀りが足りない」「ちゃんと聴けていない」といった話が出てくる。
では「深堀り」とはなんだろうか。「ちゃんと聴ける」とはなんだろうか。このみえない領域が分けられないから、マネージャーは教育に困る。今まで、ヒアリング力に対して明確な分け方がなかったから、貴社も悩んでいたことだろう。
ヒアリング力を上げる方法は、顧客の話を分けること
実はヒアリングとは、分ける力のことである。
分けられるためには、そもそもヒアリングレベルを設定する必要がある。
弊社ではヒアリングレベルを5つの段階に分け、診断をすることに成功した。
更に、ヒアリング力とは、大きくは2つに分けられることを発見した。それは「確認力」と「質問力」である。
確認力とは「そのまま言葉を聞く力」
営業を受ける中で、全くズレた提案をされることがある。
これは、顧客の発した言葉を言葉通りに聞き取れずに、例えば1つの単語だけを取って「それがお客様のニーズだ」と勘違いをして自社の提案を進めていく。顧客からみれば、「全然うちの話聞いていないな〜」という印象が残り、もちろん商品の要望がズレているので発注もしない。
こうした営業マンは、そもそも顧客の話を確認していない上に、確認不足なことにも気付いていない可能性もある。
質問力とは「違和感を観る力」
営業を受ける中で、自分たちでも気づかなかった提案が来ると、心が揺れる。
逆に、踏み込んだ提案が来なかったり、こちらの言葉通りの提案だとしたら、少し物足りなさを感じる。
いわゆる「その道に通じている専門家としての意見を踏まえた提案」が欲しいのだ。しかも、顧客はわがままだから、独りよがりな専門家の意見ではなく、ニーズに合った提案を欲している。
そのような提案をするには、質問力が必須だ。なぜならば、潜在ニーズは顧客自身も分かっていないので、顧客の話している内容をそのまま受け取って確認する力だけでは物足りないからだ。
顧客のニーズは、営業マンであるあなたから商品を買うことではなく、自身のニーズを達成するためにある。しかし営業マンのニーズは商品を売ることとなってしまっている。それ故に、タイトルに書いたように、売るためにヒアリング力を高めても営業マンは結局売れないのである。
従って、営業マンのニーズが「売ること」になっていれば、顧客の潜在ニーズは聞けない。顧客の話の内容に客観的な「違和感」(くどいのだが、売るためではない)を感じないと自発的に質問は生まれないのだ。
この質問力が育たないが故に、営業で負けるということがよくあるだろう。
まとめ
では、このヒアリングレベルを、具体的な商談を踏まえて、どのように診断すればよいのだろうか。
実際に私が営業を受けた診断結果をレポートにしてまとめたものがある。
貴社の営業マンの報告を聞き、以下のような事を感じたことはないだろうか。
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顧客のニーズがわからない
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言っている事が事実なのか分からない
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確度がぜんぜんみえない
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結果とは関係ない情報を取っているようにみえる
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どうアドバイスをすればよいか分からない
もし、感じたことがあるならば、レポートを読んで参考にして頂けると幸いである。