テレワークにおけるセルフマネジメントの課題と対策

最近、日経新聞で興味深い記事を目にした。記事のタイトルは「追跡コロナ 日本の宿題(3) 試行錯誤の一斉テレワーク 働き方改革 浮かんだ弱点」であり、要約すると、基本的なインフラ整備が整っていないため、テレワークの導入が進んでいないという内容であった。

私は、オリンピック開催に伴い、多くの企業がテレワークを余儀なくされる段階で、課題が明確になるだろうと予想していた。しかし、まさかの新型コロナウイルスという災害がそれを早めたのだ。

テレワークが進まない理由は技術的な問題か?

今回のテレワーク導入で浮かび上がった課題は、技術的な問題が原因であるという指摘があった。確かに、日本が技術面で遅れを取っている部分も見受けられる。シリコンバレーでは、クラウドやビデオ会議を通じた業務の共有が日常的に行われているが、それは生産性が向上するためである。渋滞を避け、自宅で仕事をすることで通勤時間が削減されるため、業務効率が上がるのは明白である。

日本も同様に、すぐにテレワークを導入すべきである。しかし、なぜそうしないのか?私の会社のような小規模な企業ですら、クラウドやビデオ会議を活用した業務共有を既に行っている。つまり、テレワークの導入が進まない理由は、費用の問題ではない。

根本的な問題は「風習への固執」

技術的な課題やインフラの未整備も一因であるが、根本的な問題は「風習への固執」にあると考える。日本は島国であり、外部からの影響を受けにくい環境下で、成熟した文化が形成されやすい。たとえば、美味しいラーメン店ができれば、消費者は列を作って並ぶ。しかし、少し味が変わったとしても、しばらくは「有名だから」と並び続ける人が多い。これは良くも悪くも、小さな変化に対して鈍感だからである。

しかし、黒船来航や終戦といった大きな危機が訪れると、日本はこれまでの成功方式を捨て、根本から変革し、他国から学びながら立ち上がる。このように、日本は大きな変化に対応できる国であり、その国民性も持ち合わせている。ただし、外部からの激しい環境変化が必要という条件がつくのが難点である。

セルフマネジメントの必要性

今回の新型コロナウイルスの影響により、世界中で劇的な変化が起きている。米ダウ平均が1987年以来の下落率を記録し、日経平均株価も2万円台を割り込んだ。また、学校が休校になり、多くの家庭で子供の世話に追われている状況である。

このような変化に対して、多くの人は「過ぎるのを待つ」という姿勢を取るだろう。台風が過ぎ去れば晴れるように、環境が変わるのを待つという考え方だ。しかし、風習への固執は、環境を変えることができないという前提に基づいている。まずは、この前提に気づくことが重要である。

もちろん、会社の制度を根本から変えるには多大な労力が必要である。しかし、自分と環境との関係を変えることは可能であり、それこそが「セルフマネジメント」のススメである。

弊社が行っている1on1コーチングでも、テレワークに移行した途端に「何をすればいいのか分からない」「やることがなくなった」という部下がいるといった声を多く聞く。こうした状況下で、自分で考え、行動することが求められるのがテレワークの本質的な部分である。

セルフマネジメントの習慣化

だからこそ、テレワークを契機に「セルフマネジメント」を習慣化してほしい。ここで言うセルフマネジメントとは、自分と会社との関係性を再考し、自分自身に目標を設定し、それを実行することである。

たとえば、今までやる気が起きなかった仕事を、この機会に手をつけてみるというように、1週間ごとに目標を設定し、自己評価を行う。セルフマネジメントにおいては、自己評価が自己満足の世界であるため、一歩でも前進すればそれで成功である。

周囲からの評価が少なくなるテレワーク環境では、自分で自分を評価し、成長を実感することが重要である。そうすることで、いざ出社となった際に、周囲との差を感じることなく、スムーズに職場復帰できるはずだ。

以上のような理由から、テレワークをきっかけにセルフマネジメントを行うことを強く推奨する。我が社では、セルフマネジメントに関する研修・プログラムも提供しているので、興味がある方はぜひご連絡いただきたい。

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