• どうしていつも報告が事実とズレるのだろうか?
  • 何回指摘しても、直してこない
  • 自信を持っていいヤツほど発言が少なくて、お前は黙っててくれというヤツほど意味のない発言が多い
  • なんとかしてチームを良くしようと思うけど、部下は自分の意見ばかり主張して疲れる
  • それでいて、結果も低空飛行・・

これは組織論の話ではない

これは、私がダイアログをする中でマネージャーの方からよく聞く発言です。

昨今はMBOのような数値目標の設定と管理だけではなく、OKRのように、各人のやりたいことと、チーム・自社のビジョンをつなぎ合わせていくコミュニケーションを重点的に行うことがトレンドになっています。

なので「1on1をしよう」とか「OKRを通して会社のビジョンを浸透させよう」といった内容が上から降ってきているかもしれません。

これらも会社を発展させるための素晴らしい仕組みです。

しかしこのような仕組みがひとり歩きしていて、肝心のチーム内のコミュニケーションの質に対する具体的アプローチが弱いという話がよくあります。

そのため現場の要であるミドル層は、上記のような発言が出てきます。

たとえ自社のビジョンとメンバーの想いが合わさっても、目の前の仕事でいつも同じミスをしていたら、たまったものではありませんからね。

よい仕組みを用いても、現場がうまく回らない。そんな状態をどうすればよいのでしょうか?

仕組みを「いかに」用いるのか?目的を見直す

1on1やOKRを導入することで、今までの業務とは違う時間が増えてきたのは確かだと思います。

ではその時間をあなたは「いかに」使っているのでしょうか?

ここの部分がブラックボックスとなりがちで、属人的です。上からのお達しもありません。

すると人は自分の成功パターンに頼ります。しかし成功パターンを使おうとすると、こんな悩みが出てきます。

  • 部下が何をいいたいのかわからない
  • なぜいつも「私はこう思うんです!」と想いばかり報告するのかわからない
  • なぜ気まずそうにだんまりしているのかわからない

自分の成功パターンでは通用しない部下が必ず現れます。

そしてよくわからない分、気苦労をしてコミュニケーションコストが掛かっていきます。

すると本来取り組まなければならない時間を削るようになります。これは本末転倒ですよね。

このようなケースを減らしていくため、今回の内容は1on1という仕組みを用いる際に発生する「属人的な部分」を極力減らし、効果的な使い方に変化することが目的です。

具体的には、「部下とのコミュニケーションの時間を、なぜ・なんのために使用しているか?」という目的について、よくある上司部下のコミュニケーションパターンから、深掘りします。

1.上に嫌われないようにやって終わる

このようなマネージャーの方は、全体の20%くらいです(感覚値ですが)。

「会社から指示が飛んできたからやらないと」という恐怖をエンジンとして動きやすいです。

すると、この方の部下とのCOM目的は何になるでしょうか?

それは「会社の指示・上司の指示を達成して嫌われない状態をつくること」です。

例えば「◯◯の項目を必ず聞いてください」というお達しがあれば、それをきちんと聞く、という感じです。

そして「指示を達成して相手から“マル”をもらうのが仕事でしょ」という思い込みがあるため、「部下も細かな指示を達成する事がいいことだ」と思っています。

ですから、部下の細かいミスを発見しては指摘するということもあるでしょう。

それ自体は必要な事かもしれませんが、この方の目的は「自分が周りから嫌われないように」するためです。

なので、部下から見ても「結局この上司は、普段から上のことしか見てないよね」という風に思われてしまいます。

2.自分の意見・想いを伝えて終わる

このようなマネージャーの方は、現在では40-50%くらいでしょうか。今後増える傾向にあります。

なぜならば働き方改革が進み「コスト削減・時短」という経営視点との対比で「自分らしく」「フレキシブル」という従業員視点からのメリットを打ち出しているからです。

しかしこの風潮を加速させていくと、最も困るのは現場のミドルです。

「私はこれがやりたい!」「いや、僕はこれをやりたい!」という自分の意見や想いを発していた部下時代ですが、マネージャーになっても同じように行う人は多くいます。

例えば「自分はこうしたいんだよね〜・・(周りをうかがう)」という風に自分の導きたい方向が実は頑なに決まっていて、周りの意見を受け付けないコミュニケーションスタイルです。

この方の部下とのCOM目的は「自分の意見を認めさせるため」です。

そうすると部下は2つに分かれます。1つは上司からの“マル”がないと恐怖なので従順に従う部下。もう1つはそんな独り善がりな上司に反発をする部下です。

もちろん、反発している部下も独り善がりですから、どっちもどっちということになりますが、部下はおそらく気付かないでしょう。

3.進捗管理と課題解決をして終わる

この方々は全体の20%くらいです。

「課題解決をしていくことで部下は変化する」と考え部下のことをしっかりと想っている方です。

なので、この方の部下とのCOM目的は「部下の課題解決をするため」です。

一見理想の上司のように見えますが、一つ頑ななところがあります。

それは、「自分が解決したい課題を発見し、解決している」というところです。

例えば部下が「スケジュール管理がうまく行かなくて・・」と言ったとします。

するとこの方は「だったら◯◯したらいいよ〜」「こういう工夫もできるんじゃない?」と方法論を伝えます。

しかし、本当は部下が伝えたいことは「業務量が多すぎる」ということだったのです。

これでは本質的な課題解決になっているのでしょうか?

実は課題ではなく、その中にある原因を発見しなければならないのです。

よくある3パターンを紹介しましたが、当てはまるものはありましたか?

しかしなぜ、このように効果的な時間の使い方ができなくなるのでしょうか?

これらに共通することは「関係性を深めるための質問がない」ということです。

忘れがちなコミュニケーションの目的

ここではMIT教授、ダニエル・キムの「組織の成功循環モデル」を活用します。

コミュニケーションの目的は様々なですが、関係の質を深めることです。

しかしマネージャーが求める「結果の質」を優先しているのが部下との1on1に見られます。

  • 私が上から“マル”をもらうため
  • 私が認められるため
  • 私が思う問題解決をしたいため

このような目的は以下の図のように、自分の結果を中心として動いている形になります。

結果の質を第一優先にすると、組織の成果が上がりにくくなる構造です。

ですから、関係の質を深めるような質問をすることが、1on1の時間を効果的にします。

関係性の質を深める「質問」とは?

自分自身が求めている結果を達成するための質問と、双方の関係性を深めるための質問は、似て非なるものです。

前者は相手が不在の質問であり、後者は相手ありきの質問です。

では、相手ありきの質問とは一体何でしょうか?

その質問を具体的に述べる前に、相手の現状を知らないとコミュニケーションは始まりません。

例えば部下の状況が以下の様子だったとします。

  • 納品期日に追われている
  • 焦っているから指示されたことも時々忘れている

これが目に見える状況です。次に目に見えない状況を知るための質問をします。

「なるほど、そんな状況だったんだね。その状況を自分なりにはどう思っているの?」

例えばこんな質問です。すると部下はこう答えました。

  • 自分なりには頑張っているんですけど、納品日が急すぎて・・
  • 思っていた計画とはズレてしまっていて・・すみません

という回答だったとします。更に聞いてみます。

「そしたら、できるかは分からないけど、今手伝って欲しいこととかはあるの?」

すると部下はこう答えます。

  • いや、頑張っているんですけど大変で・・
  • そんな手間をかける必要もないんですけど、かなりきつくて・・

こんな回答でした。

事実:納品日に追われて指示が時々忘れる
思い:申し訳ない気持ち
関係性の築き方:迷惑かけずに自分でやらなきゃ

このように整理が出来ます。この部下の現状を見て、対応がようやく取れます。

この方は自分でなんとかして、「上司に迷惑をかけてはいけない!」と思うがあまり、勝手に無理をして事故を起こしてしまっているように見えます。

「別に大きな問題じゃないよ。例えば、あなたが“こうして欲しい”っていう指示を出したいなら、どんな指示を出したい?」

こんな質問を出せば、本当は築きたい関係性とやりたいことが見えてきます。

その部下の築きたい関係性に対して、どうするかはあなた次第です。

今、時間的に合わせられないのであればその旨を伝えながら、どう協力関係を築けばよいか模索すればいいだけです。

このように、「現状を知る」「関係性のイメージを見る」「本当は築きたい関係性のイメージを出す」を行います。

それが出てきたら1on1はほぼ終了です。そこからどうするかを話し合えばいいのです。

まとめ

現場マネージャー向けに、1on1の効率的な時間の使い方を話しました。

最後の「具体的な質問」のパートはとても高度な技術が要されます。

なぜならば、自分自身が無意識に築きたい関係性のイメージが見えないからです。

弊社では、1on1、2on1を通してまずは自分自身がアウトプットする価値や、質問の価値に気付いていただくためのダイアログを行っています。

ご興味があれば、お気軽にお問い合わせください。